もう書くこともないと思っていたテーマがひょっこりと。

 

現在入院中の病院、3年連続皆勤入院賞なんですけど

最初の入院時、ちょっとイヤな思いをしたことがあります。

 

男性看護師が一人いてその人が

私の病室の前で私をケアして退室した女性看護師を激しく

それもネチネチと叱責していました。

 

当然モロ聞こえです。

私もいつもならドアをピシャーンとあけて

(もれなくスライドドアがそのまま戻ってくるけど)

「うるせえ!!よそでやりゃあがれ!この▲※××が!」

ぐらい言えたんですが、

さすがに病人カテゴリーだと

それもちょっとできかねました。

 

その少し後、ラウンジへ行くと

無人の室内で彼女が泣いていました。

助けられなかったふがいなさを詫びました。

 

そしてその翌日だったでしょうか、

夜の検温でくだんの男性看護師が来室しました。

ここは基本的にすべて個室です。

手渡された体温計をセットし、

測定終了を知らせる音がピピッと鳴ると

彼はなんの躊躇もなく私のパジャマに

手を突っ込もうとしてきました。

 

すかさずその手首をねじり上げ、壁に投げ飛ばし

たかったのですが、繰り返します、

病人カテゴリーなのでできませんでした。

 

もちろん反射的に拒絶するぐらいはできたので

ギリで阻止いたしましたが。

 

「無礼者!!」と叫び抜いたサーベルで一刀両断、

刀の錆にしてやりましたとも。私の暗黒の脳内で。

 

そんなことがあったのが2年前の入院時。

その時はイヤな思いをしただけ。と思っていました。

 

昨年は、できたら彼を担当にさせないでと一言お願いしました。

 

そして今回の入院、心のどこかでその看護師がいないことを祈っていました。

入院して一週間、顔を見ることもなかったので

「辞めたんだ」と勝手に思い、油断したところで見てしまったんですね

ナースステーションに入る姿を。

 

一気に心臓がバクバクしましたが、それは一時だけ、

ただ、どうしてもモヤモヤした気分が晴れません。

仕事しててもどうにも落ち着かず、散歩に出かけました。

 

そこでいつも優しく楽しい看護師さんにばったり会ったので

ベンチに腰掛けて話してみました。

 

以前イヤな思いをしたこと、

自分がDV離婚していること

できたら来室してほしくないこと

軽い気持ちで話していたはずなのに

なぜか涙が出てしまいました。

 

看護師さんも驚いたけど自分も驚いた。

泣いてるつもりはないのに涙が止まらない。

話が終わると彼女はすぐに走り去り、

師長さんにかけあってくれて

安心してねと言いにきてくれた。

 

「気分一新で散歩しておいで」

と言われて歩き出すも涙がこわれたように止まらない。

 

泣いて歩きながらちょっとわかった。

 

離婚当時、私は夫を怖いなんて思わなかった。

子供たちがいたから。

自分はこの子たちを守る盾だもの、

あんなやつ怖くもなんともない。

戦ってやっつけてやるだけだ、と思ってた。

 

でも、きっとやっぱり怖かったのだ。

 

そりゃそうだ、自分より大きくて力も強い男が

目の前で怒り狂ってりゃ普通怖いでしょ。

いくらそのために日拳で黒帯とったからって言ったって

やっぱり心の底では怖かったんだ。

 

怖いっていう気持ちにフタしてただけなんだ。

怖いって思っちゃダメだと禁止してただけなんだ。

 

それが今回、元夫の代理の男性看護師に投影されて

それから私を守ってくれる看護師さんたちという

絶対防衛網を得て、安心して涙が出たんじゃなかろうか。

 

めちゃくちゃかっこ悪かったけど、

ひょっとして少し浄化されたんじゃないかな。

 

フラッシュバックなんて私には縁がないと

思い込んで勉強してないからわからないけど

これがそうなんだろうかと思い、

古いテーマを引っ張り出してみました。

 

同じ経験をしたことのある人のお役に

少しでも立てればと…

 

病室のスライドドアは静かに開け閉めいたしませう。