今日は、あの過去最悪な店でのバイト最終日。

なぜこの店を最悪といい続けるのか。理由がある。

個人的な感情論ではなくて
「商売」の点、客の視点から見て。

在庫管理が甘く、その確認の為に無駄な時間をかなり割かないといけない。
値札にはジャムコードがあるのに有効利用しているとはとても思えない。

また、品出しも大甘で、在庫は山ほどあるのに、店頭に持ち帰りカードやチップ、現物がない。

ちなみに某ホームセンターでは、毎朝開店前には品出しの交通戦争で、
広幅長台車が超高速で走り回る恐ろしい光景が見られたものだ。

何度か轢かれそうになったことがあるのだが
そんな殺気立った品出しをこの店ではとんと見たことがない。

「言われれば探す」という雰囲気が出来上がっている。
客以外は全員それが普通だと思っている。

また商品は展示してあるのに、それのカタログも説明書もなく
スペック不明のまま売ることに何の疑問ももっていない。
詳しくはwebで…ってか?

などなど「仕組み」の不思議だけでも言い出せばきりがない。

その上、店頭説明スタッフが慢性的に不機嫌な顔で接客している。
人と目が合っても笑顔になったら損! と思っているらしい。
中には、客に求められたカタログをテーブルに投げてよこした奴すらいる。
さすがに問題になったが。

私は、合計20日ほどいたけど、会話らしい会話をしてもらったことが一度もない。
黙ってものを押し出したり、返事もなく動き出したり…。
本当に不思議な人たちが客商売をしていたのだ。

今日退店する時にちょうど自分の持ち場のクソ主任と店長が
がん首そろえてたので、うやうやしくあいさつした。

「この度はお世話になりました。今日で勤務終了となります。
(金輪際あんたたちの顔見ないで済むかと思うと涙が出るほど嬉しいわよ!)
 ありがとうございました。」と。

退店手続きしていると、初めて顔を見た人と一緒になった。
どうやら彼女はレジ係のようだ。

ちなみにこの店、販売とはうってかわってレジ係と
メーカー出向にはいい人が多いのだ。
彼女もそんな一人のようで、親しげに話しかけてきてくれた。

「今日で終わりなんですかー。残念です!
 ぜひまたこの店舗を担当してくださいよ。
 みんなで言ってたんですよー、前任者と全く違って
 すごくいい人が来てくれたねーって!
 どうでしょうかー来られないんですかー?」


……私はずっとこの店全体から疎まれてると思ってた。
私に来てほしくないんだと思ってた。
こっちだってお金の為に来てるんだから
そんなことどうだって構うもんかっ! て思ってた。

なのに、最後の最後でこんなこと言われてしまっておおいに戸惑った。

私のこと喜んでくれてた人がいたんだって思った瞬間にちょろっと泣けてしまった。

会って1分しか経ってない彼女に歩きながら本当の事を話した。
レジの人たちはみんな優しいけれど、
売り場の人たちがサイテーなので二度と来たくないとか
実は次の仕事がもう決まっているとか…。

それでも彼女は、嫌な顔一つせずに
「そんな愚痴いっくらでも聞きますからー!
 ぜひこれにこりずにまた来られる時があれば来てくださいねー」と
笑ってくれた。

「いろいろあったけど、最後にこんな風に言ってもらえるなんて思ってなかったです。
 すごく嬉しいです。ありがとうございました」

と、お互いに手を振って別れた。彼女の名前も知らない。 
多分二度と会うこともないだろう。

彼女は本当にあの店の店員だったのだろうか?
もしや幻だったのではないだろうか?

そんなことも思ったけれどそれでもやっぱり
バスを待つ間にまた泣けてきてしまった。

自分の存在を喜んでもらえたっていうだけで
こんなに泣けるほど嬉しいんだね。


「こんな店は眼中にない。とうの昔に刀の錆じゃ!」

と、超クールに終わるはずだったのに

神さん、あんたはホントにズルいな。

腹立つわ!