今日も今日とてシェーバーの説明員。

そう、私は販売員ではなくて説明員。


お客様のニーズに合わせて商品のご紹介をする。

ニーズの中でもなかなか動かせないのが「予算」
であることは言うまでもない。

トークの中で失礼のないところでそれを聞き出したり
模索しながらご案内をしている。


今日、息子とほぼ同じ年代らしき少年達が二人やってきた。
初めての電動シェーバーを買おうと思ってきたとのことだった。

そして、この10倍近い値段の違いは何ですか
と、マニュアルどおりの質問をしてくれたので

自分マニュアル90%を展開し、
少年にふさわしい価格帯のものをお勧めした。

当然4ケタだ。当たり前田のクラッカーである。

もうこの時点で完全にお客が自分の息子と同化している。




だがしかし、彼は私の熱弁を聞いた後、
「じゃあとりあえずこれにしときます」と、

特価価格で26800円の、お高い上位3位入賞商品を
ご所望しよったのである。

大変礼儀正しく、私の話を聞いてくれたにもかかわらず、
私の勧めたものの約7倍の価格のものに
ためらいなく決定とな!??

彼のさわやかな笑顔におされつつ、
それでも思わず「ち、ちょっと待たんかーいっ!」
と、言いかけた。


が、そこは何とか「こちらでいいんですか?」
と、言うに留めた。

つい、「ホントに?」って言っちゃったけど。


彼曰く、「最初はイイモノにしたいんで」とのことだった。

笑顔に幼さの残る彼が、実は勤労少年で
自分で働いて得たお給料で自分へのプレゼントであったのかもしれない。

それとも親から渡されたお金で買いに来たのかもしれない。


そしてそのどっちだとしても当然ながら
単なるメーカー販売員もとい説明員が立ち入ることではないのだ。


そうなのだ。

そうなのだけど…。

このモヤッと感は何?

たぶん私は彼と同年代の自分の息子が不憫に思えただけなのね。
何とも身勝手だこと。ゆがんでるわねー。相変わらず。
あいつはただのスネカジリだっつーの!
しかしなんでかじられても実際には細くなってくれないか私の足っ




それにしても、今回のバイトで一番の高額商品を
一番乗りで買ったのが彼というのが…。


笑っとこう。
ここは笑っとこう。

うん、笑っとく。