相棒がミーティングをチラ聞きしたところによると
どうやらクレーム件数が増えてるので何とかするようにと
上からお達しがあったらしく、前日とはなにやら雰囲気が違っていた。

そんなこと人から言われんと変えられん時点で
客商売として終わってるけどな。

まあせいぜい頑張れや。



前日すでに、私たち2人をここに配属した派遣元の無責任な責任者も
売り場の社員どもも当てにしないと、私たち2人は誓い合った。



そしてこの店に還って来るかもね クレーマーとして。

I'll Be Back… なんてな。


対面販売、客商売の恐ろしさを知れ。
出会う人すべてが客になるかもしれない恐ろしさを思い知れ。


お客様は神様で、

神様には、疫病神とか タタリ神もいるんだぜ。




私は今日、そんなクレーマーじいちゃんとご対面したわよ。

私の前任者から買った商品についてなにやらご不満なようで。


自分の判断だけで対応すると店に迷惑が掛かるから
(たぶんいると思われる)苦情処理係的な方に
バトンタッチするべく相談コーナーへ行くと、

なんとカウンター内で密談の結果
私に「それはそういうものですとしか言いようがありませんので
そのように伝えてください」とかぬかしよった。

クレームというのは、やりようによって
お店のピンチにもなれば
ファンを増やすチャンスにも化ける。

そんな局面を二日目のバイトに任せようというのだから
太っ腹と言おうか何と言おうか。

スキルもノウハウもないの?

私が「そんなこと知るか!」と客にぶっちゃけたらどうするつもりなんだろう。
私の2日分のバイト代がふっとぶ巻き添えに
店中にじいちゃんの雄たけびがこだましてもいいということなのだろうか。

目がテンになったが、

こんなバカな店のせいで老い先短いじいちゃんの
血管を破裂させる危険を冒すこともあるまい。

深呼吸してから、私はじいちゃんの腰掛ける椅子の脇にひざまずいた。

そして、心にもないお詫びの言葉を
心を込めて伝えた。
もちろんカウンターの中のバカどものアドバイスは
一ミリたりとも加味していない。

すると、じいちゃんは満足して鼻の穴を膨らませ
「そう言ってくれればそれでいいんだ」と矛を収めた。

たまには自分のドMな演技に酔うのもおもしろいわよ。


さあ、自分の仕事片付けなきゃだわ。

I Love My Job ! xxx