こと黒い記憶に関しては、当分ネタが切れないワタクシ。


薬物といっても、厚生省公認合法薬物である。

最近はよく「導剤」とか呼ばれる「睡眠薬」「睡眠導入剤」だ。


上の娘を出産する時、常置胎盤早期剥離を起こした私。

その件に関してはまたまたこれも別の記事で。



とにかく緊急帝王切開術を受けた。

22歳の若さのおかげか、母子ともに三途の川から返品された。


といっても仮死状態の娘はICU、自分も発熱。

結局娘の顔を見たのは一週間後だった。


その間に実は私の腹腔内では出血しており、

そこにブドウ球菌がわんさか育っていた。

(明らかに術中感染だよなー。今から考えると)


再手術するか、自己吸収を待つか…

再手術の場合、神経を傷つけて半身不随の可能性がある。

と言われれば、そりゃ、待つわな。


両腕に抗生物質の点滴を受けて、毎日ベッド上で張り付けのポーズ。

おかげで私は今でも「ベッドでトイレ」にまったく躊躇がない。


これでもかってぐらい点滴してても、夜になると熱が出る。

二日か三日で薬替えてもなかなか下がらない。


そしてとにかく痛いのだ。痛くて眠れない。

それでも娘のためにと母乳を絞り、看護師さんに託した。


あとから知ったのだが、発熱してた時の母乳は廃棄処分してたんだって。

しかも出が悪いから一時間ちかく絞ってたんだよね。

もしやこれのせいで発熱してなかったかしら…(^^ゞ


そしてまずは 「痛み止め」 のご登場。


注射してもらうと、痛みが引く。眠れる。

薬が切れるとまた痛くて目が覚める。

ナースコールして、注射のおかわり。眠れる。

また薬が切れて目が覚める…これが一晩に3回。

これ以上はたしか駄目と言われた気がする。


こんなことを毎晩繰り返していると…

眠るのが怖くなる。


薬が切れたらまた痛くて目が覚める。

痛くなったらどうしよう。どうしよう。どうしよう。


かくして 「痛み止め」&「睡眠薬」 にバージョンアップ。

気がつくと、眠れないのではなくて、安心するために睡眠薬をほしがるようになっていた。


怖くて飲まないと眠れないのだ。


もしかしたら、プラシーボ的偽薬を渡されていたのかもしれないが

精神的な依存症というのをぼんやり自覚したのは

娘と対面してからだ。


こんなことしていてはいけない。

早くまともにならなければ!と、決心。それからは薬を絶った(大げさ…)


結局一ヶ月入院を余儀なくされた。

その間、娘は看護婦さんたちの愛情をたっぷり受けて、

「人見知り? なんすかそれ?」 な子供に育った。


めでたし、めでたし。


今でもあの時の、まともな判断力を失っていた自分を思い出せる。


蟻地獄に落ちた蟻がもがくような気持ち。

足元に口を開けている黒い穴が見えたような恐怖心。

それから抜け出すために安易な方法にすがりつく自分が見える。


薬物依存は本当に怖い。

ただの痛み止めや睡眠薬ですら、あんなだったのだから…。


合成ドラッグなんて、自分の力で這い上がれる訳がない。

「ちょっとお試し」はありえないよ!


開けたら最後、You can't stop !

は、ポテチだけにしておこうね。