雨が上がっていたので夜の散歩に出る。

三日ぶりくらいだろうか。

始めたのはテレワークが主体になった頃だから、すっかり日課となって久しい。

だから、三日ぶりともなると随分怠けていた感覚になるから不思議だ。

習慣化というのはある意味恐ろしい。

習慣化と言えば、昨日職場で、子を持つ先輩と話していた。

すると、先輩が、「うちの子たちも、学校が休校の生活にすっかり慣れてしまっている」と言っていた。

だらけきっているわけでもないらしい。

朝それなりにきちんと起きて、午前中は学習、午後は遊んだり体を動かしたりして、夜もひどい夜更かしするようなこともないとのこと。

そんなふうに、「自宅で教育を受けること」に慣れたようである。

立派だなぁで終わらせることもできるが、これまで何やったんやろう、とこれからどう変わっていくやろう、が押し寄せてきてじっと黙ってしまった。

あと、もちろん、自宅で教育がどうしたって難しい家庭があることはずっと心配である。

さて話戻って夜の散歩。

おかげさまで近所の小道事情には、かなり詳しくなった。

そして、小道は様々な角度で大通りに繋がる。

そのため大通り事情も当然頭に入る。

道に関して言えば「小は大を兼ねる」なのかもしれない。

そんな中はまっているのが「道しるべGO」である。

周辺に点在する道しるべを見つけて歩く散歩である。

道しるべとは、ウィキによると「道標（どうひょう、みちしるべ）は、道路の辻、街道の分岐点に立てられた交通標識である」。

交通標識と言ってもアスファルトの車道や曲がり角で注意を促すべく立つ背の高いプレートなんかではなく、ずんぐりと角柱あたりに整えられた石。それになかなか判別が難しい文字が彫られているやつだ。そう、昔々に作られ現存している遺産。

住んでいる町はなかなか歴史ある町らしく、大きな寺の近くまで行くと、わりといくつも道しるべを見つけられる。

かつては案内板として機能していたものでも、現存していれば立派な文化財。そのため、道しるべの横には解説が添えられていて、併せて鑑賞するのが、目下夜の散歩の楽しみなのである。そのときばかりは聴いている音源を一度止めるもの。

おそらくだが、散歩圏内の道しるべはひと通りは経たと思う。

なのに、何度も行く。参拝すべきお寺へ導くはずの道しるべを、何度も参拝する俺。

だって、何度見てもおもしろいのだから。

おもしろがれるということは、つまり、何度見ても「へぇ〜！」と感心できることで、つまりは全然頭に入っていないのだ。

有馬街道とか西国街道とか、そんな言葉が解説に載っている。当時はこの道しかなく、周辺一帯は田畑だった、とか書かれている。

これでもずいぶん「言葉」が頭に入った方である。

そしておもしろみはどんどん色濃くなってきている。

どうやらこれは歴史の勉強、フィールドワークと言える。

似たようなことを、どこかの段階で、授業として学んだと思う。

けれど今こうして、うっかりながら自主的に取りかかると、興味関心の度合いが当時とはまるで違う。

今自分は、在りし日の有馬街道とか西国街道のことに、かつてないほど興味を持ってしまっている。江戸時代、とかですか？こんなレベルだが。

残念（かもしれない）なのが、この観察が、暗い夜道であること。

雰囲気を残しているのか、道しるべがある辺りは、そう街灯が照り照りではない。暗いのだ。

もちろん道しるべ及び解説を視認できるくらいには明るいが、ではこの一帯は、と見はらそうにも具合いが悪い。

ただ、一長一短。

こんな、暗い夜にフィールドワークなどというエクストリームな学習スタイル、今この何の制約もないお年頃じゃなきゃできないことだ。ちょっと特別性が加わって、自分にとってはよほどおもしろい。

よって、個人的には何も残念なことではない。（そのうち真っ昼間に改めて見に行くこともするだろう）

調べようと思えば、それこそ在宅でいくらでも旧街道、道しるべ事情については詳しくなれる。

「実際に足を運ぶ」を大切にしたことって、思えば最近そんなにないなぁと思う。

その良さを、（本当に）うっかりと思い出させてくれたのが、不意に現れた道しるべということなのだ。

昨日の記事ではないが、これもまた「意味あるのかなぁ」とにやにやしてしまう。

ある程度意味があると思えてしまうことに「うっ」となった自分をどうかと思うが、まぁ多分この時期にこんなことにうきうきしている奴はそういないと睨む。

まぁちょっとした話の種にでもなればいい。

そんなこんなで、「道しるべGO」を、気まぐれに続けていく所存。

「道しるべGO」を知っているか