サッカーの競技スポーツとしてのピークは25歳から30歳とされています。
近年のトップクラスのサッカーでは、とくに体力的な要素が強くなり、30代のなかばを過ぎて第一線で活躍できる選手は非常に少なくなります。
しかし、体力面の衰えを除いて、総合的なプレーヤーとしての資質を見れば、30代を過ぎてもさらに向上し、十分楽しむことができるのです。その意味で、サッカーは十分に「生涯スポーツ」の対象になる競技ということができます。50代になっても60代でも楽しむことができるスポーツと言えます。
ただ、ボールを扱うことを中心としたスキル(基礎技術)は、年齢を重ねれば重ねるほど習得が難しくなってしまいます。
サッカーのスキルは、ちょうど自転車に乗るのによく似ています。少年期に獲得してしまえば何でもないことが、大人になってからではとても難しくなるのです。またいちど獲得したスキルは失われにくいという点もよく似ています。
その一方で、タクテイクス(戦術能力)の向上は、プレーを続ける限りずっと続いていくものです。それは、多く
の経験が必要とされるからです。
サッカーの指導で「小学生年代」が非常に重要なのは、そこに理由があります。この時期には、何よりも、ボールを扱うことを中心とした「スキル」を身につけなければなりません。それをしっかりと理解して指導にあたる必要があるのです。
もちろん、少年サッカーの指導が、単に将来のJリーグ選手や日本代表選手を生み出すことだけを目標とするものであってはなりません。しかし同時に、少年たちがもっているそうした夢を、「スキル」を獲得できるいちばん大事な時期につぶしてしまってはならないのです。
つまり、将来どんな形でサッカーに係わっていくにしろ、スキルの獲得と、そして同時に創造力を高めることは、一生の財産になり、個々の少年にとって最も大印なことなのです。
すなわち、この時期の指導は、「強いチームをつくる」ことよりも、個々の少年のスキルを向上させることに重点を置かなければなりません。
一生懸命にチームのためにプレーするのは、サッカーという競技をするうえで非常に大事なことです。しかし少年サッカーにおいてそればかり求めると、本当の意味での「スキル」が身につきません。
小学生年代を指導するコーチの役割は、その少年たちに「サッカーを一生の友」にできる基礎をつくってあげることにはかならないのです。