その彼の名はジャック・ドゥミ。
ヌーヴェルヴァーグを代表する1人である。
彼の作品は非常におしゃれで独創的でチャーミング。
ミシェル・ルグランとカトリーヌ・ドヌーヴと組んだ作品は、至高の傑作だと思っている。
『アニエスの浜辺』はドゥミの妻であるアニエス・ヴェルダが、自身の人生を描いたドキュメント映画である。
ドキュメンタリーというと退屈だろうと予測がつく。
しかし、この作品は、ヴェルダ色満載の創造豊かな映像と、過去の写真とが入り混じって構成されている。
そのせいか、私は退屈しなかった。
これぞドキュメントという、事実をたんたんとつづった作品ではないので、ドキュメンタリーファンは期待を裏切られるかもしれない。
彼女のドゥミへの愛は深く、スクリーンを通して、胸が締め付けられた。
要所要所に登場するフランス映画たち、俳優たち…
フランス映画、それもヌーヴェルヴァーグ、それもドゥミを愛する人には、たまらない。
ラストシーンの「記憶と映像は混ざり合い、映像は残る」という言葉が印象的である。
人にもよると思うが、少なからず、記憶というのはいじられ、あいまいさを残すし、所詮は脳内にとどまるものであり、薄れ、かすれゆく。
フランス映画を愛する人は、どうか一度は見てほしい。
アニエスの浜辺 [DVD]/アニエス・ヴァルダ,ジャック・ドゥミ,マチュー・ドゥミ

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