大切なものは、地位と名誉と財産かもしれない。健康かもしれない。心の自由かもしれない。大切なものは、人それぞれ。
子供の頃から大切だと思っていたことは、たぶん、ない。野球とかロックとか、好きなこと、好きなものがあるだけで、それが大切だとは思っていなかった。
虫が好きだった。図鑑に載っているすべての虫を捕まえたかった。海でも山でも、虫を探した。幼稚園の庭で見つけたゾウムシの姿形は、驚きだった。
虫が光るのは、現実なのにファンタジーだった。遠い昔、徳島のど田舎で見た、蛍の光が美しかった。クリスマスツリーのネオンを夜空にぶちまけたような光景だった。
虫を好きな気持ちが褪色して、目にした光景が記憶になった頃、勉強とか仕事が大切だと聞かされるようになって、虫といた場所と時間の大切さが心に沁みてきた。
勉学が大切だという。数えると、19年も学校へ通った。でも、どうだろう? 何が大切だったのか?
仕事が大切だという。結果的に、30年も会社に勤めた。でも、どうなんだろう?何が大切だったのかなあ?
不思議なことに、野球が仕事の人もいる。奇妙なことに、ロックが仕事の人もいる。仕事なんだから大切なんじゃない?
世の中の半数以上の人は、野球にそれほど関心はないと思う。でも、プロ野球選手はファンタジーではなく実在する。野球で生計を立てている人がいる。
世の中の半数以上の人は、ロックにそれほど関心はないと思う。でも、ロック・スターはファンタジーではなく実在する。ロックで生計を立てている人がいる。
さて、野球とロックなら、ロックの方が大切かな?
47年もギターを弾いている。たぶん、ギターは大切にしている。ロック・バンドは面白いし、ロックンロールには感謝している。
大切なものは、地位と名誉と財産かもしれない。健康かもしれない。心の自由かもしれない。大切なものは、人それぞれ。