DIC川村記念美術館には、ロスコ・ルームと呼ばれる展示室がある。部屋の中へ入ると、マーク・ロスコの描いた7枚の巨大な絵に囲まれる。知覚の扉を開き、知覚の窓と対峙する、そんな感覚を覚える不思議な空間だ。
ロスコの絵はでかすぎるので、画集を眺めても、たぶん、その作品の面白さは1ミリも伝わらないと思う。まず、このビデオを観て、絵の大きさをイメージしてほしい。
大きさは量的な度合いを示す。だけど、大きさも一線を越えると、絵の印象は質的に変化する。畳よりもでかいロスコの絵を前にすると、知覚の変化を体験できると思う。
ロスコ・ルームに展示された7枚の絵の大きさは次の通り。
「壁画 No.4」のためのスケッチ 265.8×379.4 cm
「壁画 No.1」のためのスケッチ 266.7×304.8 cm
無題 264.8×252.1 cm
壁画スケッチ 167.6×152.4 cm
壁画スケッチ 182.9×228.6 cm
壁画 セクション1 266.1×453.8 cm
無題 266.7×455.9 cm
DIC川村記念美術館の図録には、ロスコのこんな言葉が記されている。「私は、絵画ではなく、場を作ったんだ」
ロスコ・ルームのソファに1時間くらい座った。眠りたくなった。この部屋で、一日過ごしてみたいと思った。
自宅に空き部屋があったら、ロスコ・ルームを作りたいね。本物の絵は買えないから、大きなポスターが4枚くらいあればいい。わけもなく絵を眺めて、絵に囲まれて、いいんじゃないか。