今月はミステリ月間
2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:4123ページ
ナイス数:97ナイス
ストロベリーナイト (光文社文庫)の感想
ただの殺人事件とは呼べないほどの多数の被害者を出した非常に残虐な猟奇殺人事件が発生した。捜査するのは自身の辛い過去を乗り越え、ノンキャリアながらも若くして警部補に昇進した警視庁捜査一課の女刑事・姫川令子と彼女の親衛隊ともいえる部下達。そして繰り広げられる、ベテラン刑事である通称ガンテツとの仁義なきお手柄争奪戦。かなりグロテスクな殺人シーンに思わず目を背けたくなったが、続きが気になり一気に読んでしまったくらいに引き込まれた。冒頭の放火のシーンで見事に先入観を植え付けられてしまい、事件の真相は予想外だった。
読了日:9月4日 著者:誉田 哲也
マークスの山(上) (講談社文庫)の感想
読み始めてしばらくはつまらないなと思いながらも読み進めた。そのうちにいくつか浮上する点と点が少しづつ繋がっていき、ようやく線になるかなって所で上巻終了。警視庁捜査一課・第三強行捜査班の第七係の捜査員達はいかにしてマークスにたどり着くのか?そして霞ヶ関の住人達は何を隠蔽しようとしているのか?昭和51年に起きた殺人事件はこの事件にどう交わっているのか?ミステリ小説に属してはいるが純文学並みに多筆な心理描写に加え、社会派の色が濃く、東野圭吾作品のように誰にでも楽しめるほど軽くはない。
読了日:9月5日 著者:高村 薫
マークスの山(下) (講談社文庫)の感想
世の中なにが正しくてなにが間違っているのだろう??読後、そんな事を考えたが結論は出ず。今に始まった事ではないが、正義だけでは通用しない世の中の不条理を痛感させられ少しブルーに。人間の卑しさを再確認させられさらにブルーに。そんな中、人間の素敵な一面を見せてくれたのは意外にも殺人鬼マークス。子供のような人格と悪魔のような人格を兼ね備えた超危険人物だが、真知子に対してだけは人間的で暖かい。2人のメモのやり取りには泣けた。ラストシーンのマークスの所持品にも泣けた。この本が描いているのはまさに人間そのもの。
読了日:9月7日 著者:高村 薫
容疑者Xの献身 (文春文庫)の感想
発表当時や映画化のブームに乗り遅れた為、今更ちょっと感が強くて読むのを避けてたが。。。読んだらとっとと読んどけば良かったと後悔。あの日すぐに自首していれば正当防衛が認められたかもしれんのに。石神の愛が溢れ出しすぎた結果、より最悪な結末を迎えるハメになってしまった。抜け穴がありそうなアリバイを作り、そこに警察の捜査の目を向かせ、真相とはまるで方向違いな道へと誘うトリック。そしてその真相を突き止めた湯川は親友の石神の真意を悟ってしまい悩み苦しむ。誰一人報われないラストシーンはもう切なくて切なくて。
読了日:9月16日 著者:東野 圭吾
ソウルケイジ (光文社文庫)の感想
前作ほどのグロさはなかったが、ミステリとしての面白さはこちらのほうが上に感じた。父を失った為に天涯孤独になり、施設に預けられた耕介。彼が道を外さず真っ直ぐに生きて行けるようにサポートし、見守り続けた高岡の父性が今作の核になっている。高岡の存在は耕介にとって大きな支えになり、辛い十字架を背負う高岡にとっても我が子のように思っていた耕介は生きる希望だった。本当の父ではないけれど、高岡の愛を受け取った耕介なら、いつか生まれる我が子にちゃんと愛を与えてあげれるだろう。それにしても菊田はいつまでグズグズしとんねん!
読了日:9月18日 著者:誉田 哲也
さまよう刃 (角川文庫)の感想
例えば私に娘が産まれるとする。妻はまだ幼い娘を残して先に逝ってしまう。男手一つで大切に育てた娘は、変な虫が付かないか心配になる年頃に成長する。だが愛する娘はまだ未成年の少年によって蹂躙された挙げ句、死に至らされてしまう。たとえ逮捕されても犯人の名前は教えてもらえず、少年法に保護され数年で社会復帰。もし警察が突き止める前に犯人を特定できたとしたら、間違いなくぶっ殺しに行く。刑法とは誰の為のものなのか?未成年というだけで情状酌量の余地のないゴミを更正という名の下に保護することが社会にとって意味のある事なのか?
読了日:9月20日 著者:東野 圭吾
秘密 (文春文庫)の感想
いくら魂は妻の直子だとはいえ、娘の身体を抱く事などできず、かといって性欲を失った訳ではないから他の女に欲情しつつも実際に行動にする訳にもいかず。。。一方で直子は10代の心と身体を手に入れ、眩しい青春時代を再び謳歌しているように平介には見えてしまい(実際にそうなんだろうが)妬ましさと、直子を失ってしまうのではないかという不安に襲われる。嫌な見方をすれば直子は平介の為ではなく、自分のこれから続く輝かしい未来を平介に邪魔されたくなかったからあんな嘘をついたのでは。私には後味の悪いバッドエンドに感じた。
読了日:9月23日 著者:東野 圭吾
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)の感想
同調し合う、群れる、本音を言わない。それが男である私がイメージする女。それに女というのは女に対してものすごく気を使う。美容師という職業柄、嫌というほど実感してきた。職業柄どうかとも思うが、恐らく一生理解出来ないだろうし、そういう風に出来ているんだから仕方ないと思っている。そういった女の心理をリアルに、そしていい意味でイヤらしく描かれており、男には絶対に描けない作品。ただ個人的には事件に至ったいきさつや真相に物足りなさを感じたのは確かで、文庫で約500ページにも渡る長編ミステリの割には軽く感じた。
読了日:9月25日 著者:辻村 深月
レベル7(セブン) (新潮文庫)の感想
一切接点がない二人の異なった視点と、それにともなう時間軸の巧みなズレによって、幾度となく騙されたうえに、最後の最後で待ち受けていたのは大どんでん返し。手探りで闇の中を歩くような、先が見えない世界観の中で、ゆかりちゃんを存在させる所に宮部みゆきの余裕が感じられる。作為的にローリスクで一時的記憶喪失を引き起こす事が実際に可能なのかは私は門外漢なので不明だが、もし可能であるならば本当に恐ろしい。もう一つ恐ろしいのは、権力の快感に魅せられた結果、人として最も尊い道徳観を失った男の醜悪なる姿。
読了日:9月27日 著者:宮部 みゆき
読書メーター

2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:4123ページ
ナイス数:97ナイス
ストロベリーナイト (光文社文庫)の感想ただの殺人事件とは呼べないほどの多数の被害者を出した非常に残虐な猟奇殺人事件が発生した。捜査するのは自身の辛い過去を乗り越え、ノンキャリアながらも若くして警部補に昇進した警視庁捜査一課の女刑事・姫川令子と彼女の親衛隊ともいえる部下達。そして繰り広げられる、ベテラン刑事である通称ガンテツとの仁義なきお手柄争奪戦。かなりグロテスクな殺人シーンに思わず目を背けたくなったが、続きが気になり一気に読んでしまったくらいに引き込まれた。冒頭の放火のシーンで見事に先入観を植え付けられてしまい、事件の真相は予想外だった。
読了日:9月4日 著者:誉田 哲也
マークスの山(上) (講談社文庫)の感想読み始めてしばらくはつまらないなと思いながらも読み進めた。そのうちにいくつか浮上する点と点が少しづつ繋がっていき、ようやく線になるかなって所で上巻終了。警視庁捜査一課・第三強行捜査班の第七係の捜査員達はいかにしてマークスにたどり着くのか?そして霞ヶ関の住人達は何を隠蔽しようとしているのか?昭和51年に起きた殺人事件はこの事件にどう交わっているのか?ミステリ小説に属してはいるが純文学並みに多筆な心理描写に加え、社会派の色が濃く、東野圭吾作品のように誰にでも楽しめるほど軽くはない。
読了日:9月5日 著者:高村 薫
マークスの山(下) (講談社文庫)の感想世の中なにが正しくてなにが間違っているのだろう??読後、そんな事を考えたが結論は出ず。今に始まった事ではないが、正義だけでは通用しない世の中の不条理を痛感させられ少しブルーに。人間の卑しさを再確認させられさらにブルーに。そんな中、人間の素敵な一面を見せてくれたのは意外にも殺人鬼マークス。子供のような人格と悪魔のような人格を兼ね備えた超危険人物だが、真知子に対してだけは人間的で暖かい。2人のメモのやり取りには泣けた。ラストシーンのマークスの所持品にも泣けた。この本が描いているのはまさに人間そのもの。
読了日:9月7日 著者:高村 薫
容疑者Xの献身 (文春文庫)の感想発表当時や映画化のブームに乗り遅れた為、今更ちょっと感が強くて読むのを避けてたが。。。読んだらとっとと読んどけば良かったと後悔。あの日すぐに自首していれば正当防衛が認められたかもしれんのに。石神の愛が溢れ出しすぎた結果、より最悪な結末を迎えるハメになってしまった。抜け穴がありそうなアリバイを作り、そこに警察の捜査の目を向かせ、真相とはまるで方向違いな道へと誘うトリック。そしてその真相を突き止めた湯川は親友の石神の真意を悟ってしまい悩み苦しむ。誰一人報われないラストシーンはもう切なくて切なくて。
読了日:9月16日 著者:東野 圭吾
ソウルケイジ (光文社文庫)の感想前作ほどのグロさはなかったが、ミステリとしての面白さはこちらのほうが上に感じた。父を失った為に天涯孤独になり、施設に預けられた耕介。彼が道を外さず真っ直ぐに生きて行けるようにサポートし、見守り続けた高岡の父性が今作の核になっている。高岡の存在は耕介にとって大きな支えになり、辛い十字架を背負う高岡にとっても我が子のように思っていた耕介は生きる希望だった。本当の父ではないけれど、高岡の愛を受け取った耕介なら、いつか生まれる我が子にちゃんと愛を与えてあげれるだろう。それにしても菊田はいつまでグズグズしとんねん!
読了日:9月18日 著者:誉田 哲也
さまよう刃 (角川文庫)の感想例えば私に娘が産まれるとする。妻はまだ幼い娘を残して先に逝ってしまう。男手一つで大切に育てた娘は、変な虫が付かないか心配になる年頃に成長する。だが愛する娘はまだ未成年の少年によって蹂躙された挙げ句、死に至らされてしまう。たとえ逮捕されても犯人の名前は教えてもらえず、少年法に保護され数年で社会復帰。もし警察が突き止める前に犯人を特定できたとしたら、間違いなくぶっ殺しに行く。刑法とは誰の為のものなのか?未成年というだけで情状酌量の余地のないゴミを更正という名の下に保護することが社会にとって意味のある事なのか?
読了日:9月20日 著者:東野 圭吾
秘密 (文春文庫)の感想いくら魂は妻の直子だとはいえ、娘の身体を抱く事などできず、かといって性欲を失った訳ではないから他の女に欲情しつつも実際に行動にする訳にもいかず。。。一方で直子は10代の心と身体を手に入れ、眩しい青春時代を再び謳歌しているように平介には見えてしまい(実際にそうなんだろうが)妬ましさと、直子を失ってしまうのではないかという不安に襲われる。嫌な見方をすれば直子は平介の為ではなく、自分のこれから続く輝かしい未来を平介に邪魔されたくなかったからあんな嘘をついたのでは。私には後味の悪いバッドエンドに感じた。
読了日:9月23日 著者:東野 圭吾
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)の感想同調し合う、群れる、本音を言わない。それが男である私がイメージする女。それに女というのは女に対してものすごく気を使う。美容師という職業柄、嫌というほど実感してきた。職業柄どうかとも思うが、恐らく一生理解出来ないだろうし、そういう風に出来ているんだから仕方ないと思っている。そういった女の心理をリアルに、そしていい意味でイヤらしく描かれており、男には絶対に描けない作品。ただ個人的には事件に至ったいきさつや真相に物足りなさを感じたのは確かで、文庫で約500ページにも渡る長編ミステリの割には軽く感じた。
読了日:9月25日 著者:辻村 深月
レベル7(セブン) (新潮文庫)の感想一切接点がない二人の異なった視点と、それにともなう時間軸の巧みなズレによって、幾度となく騙されたうえに、最後の最後で待ち受けていたのは大どんでん返し。手探りで闇の中を歩くような、先が見えない世界観の中で、ゆかりちゃんを存在させる所に宮部みゆきの余裕が感じられる。作為的にローリスクで一時的記憶喪失を引き起こす事が実際に可能なのかは私は門外漢なので不明だが、もし可能であるならば本当に恐ろしい。もう一つ恐ろしいのは、権力の快感に魅せられた結果、人として最も尊い道徳観を失った男の醜悪なる姿。
読了日:9月27日 著者:宮部 みゆき
読書メーター