引き続きスガシカオRH.でのサウンドメイキングについて。
ヤマハの新製品スネア群は "LOUD" "SENSITIVE" "VINTAGE"という異なる3つのサウンドコンセプトに沿って製品開発されている。試作段階で試奏させてもらってはいたものの、今回は凄腕のドラマーと一緒に「実戦投入」出来たので、本当の価値を見極めるよい機会になった。
SNARE DRUMS
BRASS 14"x5.5" PAUL LEIM SIGNATURE
ORK 14"x5.5" NSD1455 LOUD CONCEPT
MAPLE 14"x5.5" MSD1455 SENSITIVE CONCEPT
MAPLE 14"x6" VSD1460 VINTAGE CONCEPT
詳細不明 10" SIDE SNARE
BRASS 14"x5.5" PAUL LEIM SIGNATURE
ORK 14"x5.5" NSD1455 LOUD CONCEPT
MAPLE 14"x5.5" MSD1455 SENSITIVE CONCEPT
MAPLE 14"x6" VSD1460 VINTAGE CONCEPT
詳細不明 10" SIDE SNARE
バンマスの坂本竜太氏(BASS)から事前に「低重心でスナッピーの効いたぶっとい鳴りのスネアを」とのリクエストがあったので、まずはブラスのポール・ライム・シグネイチャーをいじってみることにする。
このスネアを選んだ理由は、レギュラーサイズのブラスシェルは響きが明るく、余計な胴鳴りも少ないので、低めのチューニングでも音が暴れにくいからである。標準装備の30本幅広スナッピーも太い音造りに都合がいい。しかし、アルミダイキャストフープのままではアタックが強すぎるし、アルミのキャラクターが低重心なサウンド作りには向かないとの判断から、オークについていたスチール・プレスフープと交換した。鳴りの太さを際立たせるということは、逆に言えばトゥー・マッチなアタックをいかに抑えるか?という考え方をすべきである。表ヘッドはPOWERSTROKE 3 COATEDで「高くも低くもない」ごく普通のチューニング。そして、裏を若干緩めにピッチダウンし、スナッピーのテンションも併せて低めとした。これが狙い通りで、シンガー曰く「いきなりスネアの重心が下がったから、別のドラマーが叩いてるの?って思う位に印象が変わった!」とのこと。露骨なローチューニングにしなくても低重心なサウンドを作る事は充分可能である。
MAPLE 14"x5.5" MSD1455 SENSITIVE CONCEPT
ヘッドは EVANS GENERA HD DRY がついていたので、そのままチューニングしてみた。こちらは細かいゴーストノートまで鮮明に聴かせるためにハイピッチ。バリバリの"どFUNK"仕様である。明るくふくよかなメイプルの鳴りを極めて減衰の早いアルミダイキャストフープが引き締めて、タイトかつクリスピーな音像を獲得。明るくクセのないポップなキャラクターである。
ORK 14"x5.5" NSD1455 LOUD CONCEPT
オーク8プライの厚胴シェルに9箇所のベントホール(空気孔)。これによって中低音の鳴りが増幅され、サスティーンが短くタイトで抜けの良いパワフルなサウンドを実現するとの触れ込み通り、かなりロックなキャラである。フープをプレスからダイキャストに換えた事で、そんな個性をより強調出来たようだ。暴れる感じが欲しいのなら、フープはプレスのまま使うのがよい。ヘッドはこちらも EVANS GENERA HD DRY(ハイピッチ)。セットに組み込むと先程のメイプルより明らかにアタッキーで存在感が強い。決してメイプルが非力な訳ではないが、セットがオークという事もあってか、同一素材同士のマッチングの良さは目を見張るものがあった。
今のところMAPLE 14"x6" VSD1460 VINTAGE CONCEPT の出番がないが、4プライ+レインフォースメントの薄いシェルに8テンション・プレス・フープというスペックは太く暖かい音作りに使えるだろう。いずれのスネアもヤマハ側の提示する通りの明確な個性を持った楽器に仕上がっている。これならカタログスペックから音を読み取れない(それが普通ではあるが…)ビギナーも楽器選択を誤らずにすむ。(実際、買った楽器が気に入らず買い替えという話が多い)ユーザーフレンドリーな開発姿勢…ヤマハのメーカーとしての良心を感じる仕上りが素晴らしかった。