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昨日は昨秋メジャーデビューを果たしたバンド、KELUN Rec.に立ち会う。
ドラマー梶谷氏、ギター・ボーカルの児嶋氏とは旧知の仲。
エンジニアK氏との仕事も数年ぶり…
なんだか同窓会のような感じのリラックスしたムードの仕事になった。

ドラムセットはRenown Maple、Gretschのミドルグレードのシリーズである。
シェル厚はタム類が6.2mm、バスドラムが7.4mmとやや薄め。エッジ角は30°
フラッグシップモデルのUSA MAPLEシリーズとさほど変わらないスペックである。
タムは打面:コーテッド・アンバサダー、ボトム:クリア・アンバサダー
キックは打面:パワーストローク3、フロント:エボニーというセッティング。

グレッチといえば、レインフォースメントを持たない薄いメイプルシェルのふくよかな鳴りを、ダイキャストフープで引き締めたアタッキーなサウンドが特徴。ヘッドとの接触面積が極端に少ないベアリングエッジによる立ち上がりの速いヌケのいいサウンドは、上位機種と比べてもほとんど遜色ない。価格を抑えるために台湾で作られているとのことだが、実用上何の問題もないクオリティー。タムもGTSというサスペンション・マウントが採用されているので太い鳴りでチューニングも楽。よく出来たセットである。

スネアはDWのソリッド・ブロンズ14"x6.5"。ダイキャストフープ仕様だったものを、トップのみプレスフープに交換している。私が持ち込んだDW・ブラスのほうが音ヌケとハイエンドの輝きは勝っていたが、ブロンズの方がミドルピッチにした時のタイトかつソリッドな音圧感と中域の個性的な鳴りが皆から評判が良かった。かなり個性が強いが、今回のようにハマると非常に面白いスネアである。ヘッドはコーテッド・アンバサダー。

昨日はとある人気アニメの主題歌としてハーフサイズを録音。いつもならドラムを録り終わった時点ですぐ帰ってしまうが、歌入れからミックスまで完パケるというので、そのままスタジオに残って見学。通常私がミックスに立ち会えるチャンスはほとんどないが、昨日は一連の作業を目の当たりにする事が出来た。

ドラムサウンドは、録ったままの状態では余計な共鳴が各マイクにカブっているので、何となく音像がボヤケて遠くで鳴っているように感じられる。故に各インプットごとにイコライジングやコンプレッション、定位感の補正などを施し、音を整理する必要がある。ドラムがスッキリすると歌や他の楽器の聴こえ方も格段にクリアになる。

実際にミキシングを目の当たりにし、エンジニアK氏の電光石火の仕事っぷりに衝撃を受けた。とにかく早い!まるでサイボーグ。手癖で要領よく仕事を「こなす」のではなく、すべての可能性を試して音の成分としてカッコいいところは強調し、いらないところはバッサリと切って捨てる。その判断が的確で思い切りがいい。「レコーディングは決断!」と言ったプロデューサーがいるが、その言葉を強く実感。時間をかけすぎると迷いが生まれ、結果、保守的で無個性な音になってしまいがち。仕事が早いと言う事は一流の条件だと思う。

浮き沈みの激しい世界の荒波で揉まれながらも生き残り、
成長した仲間達と妥協の無い仕事が出来たのがとてもうれしかった。