凡事徹底~SOMETHING MUST CHANGE!!~というスローガンの下に、11/2から始まっている奄美での秋季キャンプ。

 

ああ、行きたい。見に行きたい。

 

ところでこのような記事が目に入った。

 

変わるDeNA、ラミレス監督猛省でコーチ陣とのコミュニケーション不足解消(サンスポ)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181109-00000534-sanspo-base&pos=1

 

上の記事中のラミレス監督の次の発言が気になった。

「コーチ間の会話は十分だったが、私とコーチの間にギャップがあった。すべての決断を私がしてきたために、より活躍できたであろうコーチの能力を生かし切れなかった」

コーチとのコミュニケーションをとらずに指揮をふるっていたと認めている。

 

今シーズン限りで退任するコーチと、来シーズンから新しく契約したコーチがすでに発表されているので下にまとめる。

 

2018年度で退任するコーチ

・篠原 貴行氏(一軍投手コーチ)

・小川 博文氏(一軍打撃コーチ)

・光山 英和氏(一軍バッテリーコーチ)

・福原 峰夫氏(ファーム野手総合兼内野守備走塁コーチ)

 

2019年度から契約するコーチ

・田代 富雄氏(一軍チーフ打撃コーチ)

・三浦 大輔氏(一軍投手コーチ)

・鶴岡 一成氏(一軍バッテリーコーチ)

 

一軍の各部門の主要コーチが揃っていなくなったことから、ラミレス監督との確執が疑われてもしようがない状況でこの記事だ。

 

やっぱりな、と頷いてしまった。

 

今シーズンは3年連続のCS出場を逃し、Bクラスに沈んだ。終盤は惜しいところまで行ったとはいえ、結果は結果だ。

 

今シーズンは疑問符の付く采配が多く印象に残っている。

 

まず、投手に関して。

 

・先発投手を下ろすのが早すぎる

・中継ぎ投手の起用が雑

 

そして、野手に関して。

 

・スタメンをコロコロ変えすぎ

・攻撃が下手

 

こんなところか。

 

こうした采配がなぜ振るわれたのか。

 

それはおそらく、ラミレス監督が予め決めたことに強くこだわるからだ。


2015年に2年契約を交わした際に、2016は見極めと勉強の年、2017は固定の年と、最初から位置づけていたのではないか。

 

2016年は監督初年度ということもあって、それなりにコーチ陣ともコミュニケーションはとっていただろう。

 

結果、それまで6位続きだったチームが久しぶりの3位。Aクラスになった。

 

若いチームということもあり、Aクラス入りしたレギュラーメンバーをある程度固定しようとするのは当然だ。

 

だから、2016で見いだされたメンバーを中心に、2017は桑原、倉本、戸柱、後に宮崎といったラミレス流の固定メンバーが生まれた。

 

2017年も再びCS出場を果たし、なんと日本シリーズまで行った。

 

これを受けて、監督として自信を持ったのかもしれない。

 

2018年は日本一奪取、そのために最善を尽くすと、シーズン前から決めていたのではないか。

 

今永、濱口、ウィーランドと、投手陣は悪くないし、筒香、ロペス、梶谷、宮崎など、打撃陣も悪くない。

 

多少あちこちいじっても、こうした中心選手がいる限りAクラスはクリアできるだろう、と踏んだのかもしれない。2017年末くらいまでは。

 

ところが、先発投手陣に故障者が続出した。

 

あれほどの故障者を予想しろというのは無理な話だが、その後の対応が悪かった。

 

故障者が相次いだために、飯塚、平良、京山といった若い投手に多くの出番が回ってきた今年は、せめて彼らの登板時だけでも、やや育成よりの方針にしてはどうかと思ったりもした。

 

多くの人が指摘していることだが、5回すら投げ切らせずに交代する場面をよく見た。

 

もちろん大量リードされていればしかたないが、2点以内に抑えていても、ランナーを2塁に行かせた、四球を出したといった程度で容赦なく代える場面もあった。

 

もちろん勝利は大切なことなので、最大でも6:4だ。

 

勝利よりも育成というのは、よほどシーズンに絶望しない限り、安易に流れていってはいけない。

 

しかし、あたかも10:0であるかのような、言い換えれば短期決戦のようなスタイルを最初から最後まで貫いてしまった。

 

なぜかというと、予め決めていたからだ。

 

この交代の早さに伴い、中継ぎ陣の登板機会が余分に増えたし、回またぎも多かった。その上、先発同様ピンチを作ったら即交代という場面も少なくなかったように思う。

 

そもそも、投手という人間の心理に立てばわかるはずだが、先発、あるいは中継ぎとしての使命感を持てば持つほど、ラミレス監督の采配と正反対の心理があることは想像に難くない。

 

先発投手の目標は完投に決まっているし、中継ぎ投手は、その最上位がクローザーであることを考えれば、一つの回を一人で投げ切りたいと思うのが人情だろう。

 

もちろん、表向き(社会的)にはそんなことは言わない。

 

先発投手は「チームの勝利が一番」としか言わないし、中継ぎ投手は先発投手より格が落ちるというイメージもあって、「投げさせてもらえるだけありがたい」としか言わない。

 

しかし、いくら野手出身とはいえ、表向きの言葉を鵜呑みにするようでは指導者失格だ。

 

たとえ試合に勝とうが、「あそこでお前を代えたから打たれずに済んだよ」と言われて喜ぶ先発投手はいない。

 

中継ぎ投手にしても、「いつでも行きます」とは言うが、毎日毎日準備して、いつ来るか分からない出番を待つというのは相当なストレスだ。


少なくともこうした視点すら持てないなら、投手に関しては全部投手コーチに丸投げでよかったはずだ。実際、中日時代の落合氏はそれで成功しているのだから。

 

使う側に立ったとき、使われる側の心理を理解しようと努めるのは当然の責務だ。人間を人間扱いできないなら、人を使う立場に立ってはいけない。

 

シーズン中、投手陣はラミレス監督に対してどのように感じていたか。知る由もないが、画面越しに見た采配には不満やストレスを与えているのではないかと思えるものがいくつもあった。

 

選手起用に関してコミュニケーションがとれなかったのなら、選手と同じくらいコーチも不満とストレスをかかえていても全くおかしくはないと思った。

 

特に、マウンドに声をかけに行く篠原コーチは、やりきれない気持ちになることも多かったのではないだろうか。ただの推測でしかないが。

 

結果的に篠原コーチはチームを去った。

 

次に野手に関して。

 

まず、去年の定位置である9番から倉本の名前が消え、間もなく1番から桑原の名前も消えた。

 

もちろん、倉本は守備面、桑原は打撃面に課題があったから、他の選手を使うことはまったく問題はない。

 

しかし、彼ら2人を昨年は1年通して使う我慢強さがあったはずなのに、今年はそうではなかった。

 

代わりに使った大和と柴田、および神里、乙坂、ソトらの起用が、終盤になるまで流動的だった。

 

とにかく、スタメンがコロコロ変わった。

 

スタメンの名前は変わらなくとも、打順と守備位置がほぼ日替わりだったのは事実だ。

 

監督自身もわかっているはずだが、野手心理としては、決まった打順、決まった守備位置がいいに決まっている。

 

自分の求められている役割が明確になるからだ。

 

しかし、やはり表向き(社会的)にはそれを口に出す選手はいない。特に若手はそうだ。

 

「チームが勝つのが一番です」しか言わない。せいぜい、「代打でも守備固めでも、試合に出られればなんでもいい」くらいか。

 

だからといって、監督はこれらを鵜呑みにすべきではない。

 

昨日は2番、今日は9番、明日はわからない。

 

昨日はセカンド、今日はショート、明日はわからない。

 

これでは何を目標に練習するのかすら決められない。

 

打順ごとにやるべきことは違うし、守備位置は言うまでもない。どちらも一朝一夕では身に付かない。

 

実力社会だから、レギュラーが年俸を多くもらったりするような優遇はまったく問題ない。

 

しかし、レギュラーは打順も守備位置も固定されて負担が少ないから、自分のすべきことに集中できる。

 

それに対し、非レギュラーで守備位置すら決まっていない選手の場合、課題が一つに絞れないため、集中できず、伸び悩む。

 

こうした状況を目の当たりにして、不安に思わない人はいない。

 

特に選手を間近で指導しているコーチはそうだろう。

 

一つの目標に向かって集中的に指導できないもどかしさがストレスとして蓄積されていてもおかしくはない。

 

また、これが直接の原因かどうかはわからないが、シーズンを通して攻撃の下手さも目立った。

 

四球が選べない。進塁打など、状況に応じた最低限の仕事ができない。

 

これらはもちろん選手の未熟さもあるが、基本的にはチーム全体の方針ともいえる部分である。

 

監督とコーチがコミュニケーションをとらないなら、チーム内に意識が浸透することはないだろう。

 

だから攻撃が下手だったのだ。

 

ラミレス監督による「ファーストストライクを打て」という指示も、表面上にしか伝わっていなかったのが改めてよくわかる。

 

特に二軍から上がってすぐに試合に出た選手、山下、佐野、関根あたりが、ほぼ初球から打ちに行ってあっさり凡退、という場面は何度見たかわからない。

 

これはおそらく、一軍に来てすぐにコーチにこう言われるからだ。

 

「初球のストライクを叩け」と。

 

二軍から来たばかりの選手にとって、一軍コーチの指示に従わない選択肢などない。

 

だからお決まりのようにみな初球を振る。

 

言い方は悪いが、1.5軍の選手がそんなに選球眼が良いわけもない。そもそも一軍投手の球筋を見慣れてすらいないのだから。

 

だから、ちょっと難しい球でも降ってしまう。相手投手がコントロールを乱していようが関係ない。

 

結果、凡打になる。

 

もちろん全部推測でしかないが、個人的にはこれが真実だろうと思っている。

 

ちなみに、8番投手という独特の打線については、9番投手だったらこうだったと明白に言えるほどの客観的データがないため、ここでは良し悪しについての言及は避ける。

 

ただし、チーム内で打順について誰にも口を挟む余地を与えなかったのであれば、結果の良し悪しにかかわらず反省材料の一つであることは間違いないが。


ところで、一つ不思議なことがある。

 

ラミレス監督自身が、「データ重視」で野球をやっていると述べていることが多いが、そもそもの大前提を外しているように思える点があることだ。

 

それは、どんなに最高の打者でも10回に6回以上凡退する、逆に言えば投手は6割以上の確率で打者をアウトにできるということだ。

 

データ重視で行くなら、投手は抑える前提打者は凡退する前提で作戦を練らなければいけないはずだ。

 

ところが、疑問の生じる采配を見ると、投手は打たれるもの、打者は打つもの、という前提で動いているとしか思えないものばかりだ。

 

投手に関しては上でも述べた通り、早い段階での交代がまずそれだ。

 

大量失点をしたのならともかく、する前に代えてしまう。ときにはその兆候すら見える前に代えてしまう。

 

データ上は6割以上の確率で抑えるはずなのに。

 

打者にしても、佐野をスタメンで使って2打席立たせて交代は何度も見たし、レギュラー未満の選手の場合、1試合スタメンで打てなければ翌日はベンチなど、まるでたった4、5打席でヒットを打って当然のように思っているように見える。

 

データ上は3割打てば優秀な部類なのに。

 

そうした点について、監督本人がどう考えているかはわからないが、結局今シーズンは勝利のために最善を尽くすという目標にこだわって動き過ぎた、という印象だった。

 

さて、長々と書いてきてようやく本題(英語の文書だったら落第だな)。

 

ラミレス監督はコーチ陣とのコミュニケーション不足を反省し、チェンジすると言っているが、果たしてうまくいくか。

 

繰り返すが、彼の特徴は予め決めたことに固執することだ。

 

だから、チェンジすると決めたからにはチェンジするのだろう。

 

コーチとの連携を密に取り、受け入れるべき点は受け入れ、より良い決断を下すことができればと思う。

 

ただ、まだ楽観視はできない。

 

退任していったコーチ陣は、他にも何らかの理由があるにせよ、監督とのコミュニケーション不足もその一端にあるはずだ。

 

そうであれば、コミュニケーションによって伝達されてしかるべきだった情報を得る手段が、彼らが去って行ったことによって失われてしまったことになる。


それが3人分、しかも投手コーチ、打撃コーチ、バッテリーコーチとそれぞれ分野も異なる上、特に光山氏は手腕を高く評価されていた人物だ。

 

特に今年はうまくいかなかったシーズンなので、各分野において反省すべき点がたくさんあるはずだ。

 

しかし、もう彼らの口からその情報は得られないのだ。

 

これは明確な不安材料である。

 

代わって入るコーチは、打撃コーチの田代氏のみ大ベテランで、三浦氏は選手兼コーチの数年間の経験のみ、鶴岡氏はロッテで3年間バッテリーコーチだったが、言い方は悪いが今年でクビになった人材である。

 

はっきり言って、投手側が弱い。

 

三浦・鶴岡両氏と密にコミュニケーションをとるのはもちろん良いことだが、二人の経験不足などから、結局ラミレス監督の理論に丸め込まれるようになってしまっては意味がない。

 

良い意味で口答えをするような、本当の意味でコミュニケーションを取ることができるのか。やや疑問に思う。

 

また、打撃面はベテランの田代氏なのでかなり期待できそうではあるが、そこまで楽観視はできないかもしれない。

 

ラミレス監督も打撃には自分なりの一定の理論があるだろうから、コミュニケーションを多くとった結果、互いの理論が衝突し合う可能性がないとは言えない。

 

田代氏は2009年に大矢監督に代わってベイスターズの指揮を執ったことがあるし、楽天時代には三木谷オーナーの現場介入に強い不満を持って辞めた人物だ。我が強いと言ってもいい。衝突の可能性は低くはないかもしれない。

 

それから、これはそこまで大したことではないかもしれないが、コーチも英語を教わってラミレス監督と直接コミュニケーションを取れるようにしようというチーム方針があるらしい。

 

DeNA英語教師続投 コーチ陣「監督と直接話を」

https://www.nikkansports.com/baseball/news/201810230000082.html

 

だが、当然ながらそんなに短期間で深い話ができるようなレベルになるはずもない。

 

通訳のいないときにラミレス監督がちょっとした話を英語でしようとして、コーチが適当に相槌を打って流す、という光景が日常的になってしまうと、一見コミュニケーションが取れているかのように見えてしまうから、危険と言えば危険かもしれない。

 

というわけで、結論。

 

来シーズンも横浜DeNAベイスターズに注目せざるをえない。