約束の時間・約束の場所 で俺は彼と会った。
そう、ドン! と
絶対に遅刻なんて許されない。
発言に注意しなくては。
彼は定刻 にやって来た。(ハーフパンツに半袖ポロシャツ)
普通だ! 服装はすごく普通だ!
背丈は俺よりも10cm以上小さいのだが、大きい。
すごく大きい!!
(やばい、意識し過ぎた! 悟られないように・・・)
おはようございます!(軽く礼。)
「じゃ~行こうか。後藤君!」(なんとなく声も渋く感じる)
(はい、行きますよ~どこまでも付いていきますよ。)
「今日は暑いな。タクシー拾って行こうか。」
(はい、何でもいいです。 なんなら、おぶってでも行きます!)
(あなたのお好きなように。俺は動きます!!)
彼はタクシーを拾って、行き先を告げる。
タクシーの中、俺はいろいろ考えていた。
(あ~どんなオーナーさんを紹介してくれるのだろう。なんて挨拶したら・・・
失礼のないように 彼の友人なのだから・・・)
俺の脳は今まで使ったことのない部位まで働いていた。
(紹介してもらったら、俺は今日一人でそそくさと行動しよう
彼と一緒にいたら押しつぶされそうだ・・・)
(彼と一緒にいるのが安全なのか?それとも一緒にいない方が安全なのか?)
数十分程度だったか 俺には何時間も乗っているほど長く感じた。
到着。 お店は普通の外見だった
アジアン雑貨 中はそれらしいものが並んでいる。
店員も2人おり、 彼を知っているようだ。
彼が何やら指示しているようだ。店員がオーナーに連絡を取る。
俺は落ち着かないので、お店の中を徘徊する。
(店の奥がどうなっているか気にはなったが、その考えも振り払った。)
彼は椅子でくつろいでおり、コーヒーをすすっている。
いつの間に! コーヒーが・・・ やはり待遇が違う!
(妙な不安が俺を襲った!)
だが、それは無駄な不安と詮索だった。
オーナーさんは30代後半であろう女性だった。
軽く会釈をし、3人はソファに座った。
(どうか、彼を刺激しないでください!懇願する思い 届きますか?)
彼は楽しそうに会話をし、彼女もトークが弾む。
それはほっとした時間だった。俺も話に混ざり、今後の仕事について語った!
ドン!という存在を 一瞬忘れそうなほど、語ってしまった。
(大丈夫か?彼を置いて しゃしゃり出てしまった!!)(大丈夫。)
「それでは、また連絡します」 と挨拶すると その場を発つこととなった。
オーナーさんありがとう、あなたは普通の女性でしたね。
タイに住んでるけど、心優しい日本人ですよね。
店の奥には何もないよね。 あなたを信じていいよね。
また、よろしくお願いします。 心の中は感謝でいっぱいだった。
ほんの一瞬でも、くつろげた時間だった。
お店を離れる。(どうしよう?俺から切り出すべきか?)
沈黙は彼が破った。
彼は一言。 「じゃ、ここで別れようか。」 暑いから今日は少し休む と
(あ~そうしてくれ。俺はもう一人歩き出来るくらい大人だ! たぶん・・・・)
(これで俺は 少し解放されるであろう~ 彼の存在に)
彼には暑さがこたえるようだ・・・有難う 太陽。 有難う 夏のタイランド!
彼の老いに少し感謝!!
「じゃ~また、夕方に伺います」 軽く手を振って別れた。
よし! これで俺は 自由だ~~!
南北戦争で勝った時の黒人の方々はこんな気持ちだったのだろう。
俺は俺の道を行く! 彼の背中を見る時間が少し減ったぞ~!
タイ語は分からないが、英語でどうにかなるって昨日実証済みだ!
大丈夫、きっと大丈夫、 彼といるより ずっと楽なはずだ!
天を仰げば、灼熱の太陽。 額に汗がにじみ出る。
俺は今!生きているんだ~~
これからは 俺の道を行く ほんのひと時だけど going my way