久々に漫画の話を。
最近読んでいる漫画は、
少年漫画系…
「チェンソーマン 第2部」(藤本タツキ、少年ジャンプ+)
「SPY×FAMILY」(遠藤達哉、少年ジャンプ+)
「こわいやさん」(カメントツ、少年ジャンプ+)
「ワンパンマン」(原作:ONE、作画:村田雄介。ONE版:fc2ホームページ、村田版:となりのヤングジャンプ)
「つれないほど青くてあざといくらいに赤い」(tomomi、となりのヤングジャンプ)
少女(女性)漫画系…
「十億のアレ。~吉原いちの花魁~」(宇月あい、ズズズキュン!)
「ミステリと言う勿れ」(田村由美、フラワーズコミックス)
「凪のお暇」(コナリミサト、Eleganceイブ)
「秘密」(清水玲子、ジェッツコミックス)
ドラマやアニメから入ったり、話題になってるから電子書籍から入ったり、最新刊のみコミックスを買って読んだりときっかけは様々ですが、
だいたい続けて読んでいるのはこれくらいです。
少年漫画はジャンプ系ばっかりですが、私は
絵が綺麗(デッサン力がある、画面構成が見やすい、男女キャラが均等に美しい、など)
文学力(脚本力)がある(まるで文学を読み終わった後のような強烈な読後感がある、想像力を激しく掻き立てられる)
リアリティがある(現実の人間の心理が描けている)
個性的な絵柄
この点を特に重要視して、読みたい漫画を選んでいます。
昨今、SNSを通じて誰でも簡単に「漫画家」になれる風潮のせいか、
漫画もアニメも判で押したように似たような絵、設定、話が溢れ返っていて、
「漫画飽和状態」「供給過多」
になっていると感じていて。
「漫画」が個人の好みのみによって選ばれ、ジャンルも細分化の一途を辿り。
「時代や世代を越える、本当に質の高い漫画」がどれなのか分からなくなって、10代、20代は過去の優れた作品に触れる機会も少なくなっている。
少女漫画と少年漫画、両方を読む人が少ない。
これは若者と漫画界の未来のために、非常に良くない状態だと思っています。
そこで今日は、私が少女時代~大人になるまでに読んで面白かった作品、人生に強烈な衝撃と影響を受けた少女漫画を挙げてみることにしました。
私は少年漫画と少女漫画、両方読んできて、
「先に挙げたような少年漫画が好きな人は、これらの少女漫画も好きかもしれない、ハマるかもしれない」
そんな観点で選んでみました。
「ベスト10」とかにすると、萩尾望都先生作品だけで全部埋まってしまうので(笑)、順不同にします。
「トーマの心臓」(萩尾望都)
…ある朝、一人の少年が身投げ自殺をした。
「ユーリ、これが僕の愛…!」
そう叫びながら。
彼の名はトーマ。
彼は何故自ら死を選んだのか?
ドイツのギムナジウムを舞台に、彼に関わったユーリ、トーマに瓜二つな顔をした転校生・エーリク、友人・オスカー、アンテたちとの友情と愛。
誰にも心を開かないユーリを、なんとかしたいと奮闘、葛藤するエーリク。
一見奔放に見える彼もまた、家庭に問題を抱えていた。
そして「八角眼鏡の男」、ユーリがその姿を見て青ざめる理由は…?
萩尾望都先生がヘルマン・ヘッセなどのドイツ文学や「悲しみの天使」などのフランス映画から着想を得て、思春期の少年たちの危うさを精緻な筆致で描いた、心理サスペンス要素もある少女漫画。
まるで一冊の長編海外文学を読み終わった後のような重厚な読後感、それはこの作品に対してまさに感じます。
私は大人になってから読みましたが、10代のうちに読んでおきたかったなあ。
「ポーの一族」(萩尾望都)
…「バンパネラ」と呼ばれる不老不死の吸血鬼一族、エドガー、アラン、メリーベルと、彼らに関わった人間たちとの数百年に渡る複雑な人間模様を、ミステリー要素も交えながら描く壮大な年代記。
最近、「続編の新作」として「月刊フラワーズ」にて連載が再開している模様。
私は昔のものしか読んでいませんが…。
著者のライフワークとも呼べる代表作で、宝塚歌劇団によって舞台化もされました。
「マージナル」(萩尾望都)
…不妊ウィルスによって男しか生息できない、女のいない未来の地球。
「ホウリ・マザ」と呼ばれる世界で唯一の女性だけが「子供」を人々に授ける、ミツバチ型母系社会の中で、その謎に迫る青年・グリンジャとアシジン、主人公の16歳の少年・キラ。
グリンジャと交わると体が女性化し、「彼がこの世界の謎を解く鍵を握るのでは?」と考えたグリンジャは、アシジンや世界を管理する「センター」の長官・メイヤードらと関わり、「真実」を求めて旅をする。
弱視でいつもサングラスをしているメイヤードにも、出生の秘密があり…?
「遺伝子操作」「同性愛」「虚構と真実」「本当の家族とは?」をテーマとした、SF作品。
個人的には、この時の絵柄が一番好きなのです。
特に黒髪長髪で、雄々しい性格のアシジンがイチオシキャラです
「残酷な神が支配する」(萩尾望都)
…ある人物の葬式の日。
父親を交通事故で亡くした青年・イアンと、義理の弟・ジェルミ。
ジェルミは葬式の日、何故か笑っていた。
彼を不審に思ったイアンは…?
16歳の少年・ジェルミは、幼い頃に父親を亡くし、骨董屋を営む母親・サンドラとアメリカ・ボストンで二人暮らしをしていた。
男に振られては自殺未遂を繰り返す母親を「サンドラ」と呼び、まるで「恋人」のように息子を扱う彼女。
ある日、骨董屋の店頭に並ぶ「日本刀の鍔(つば)」を見つけたイギリスの紳士・グレッグと出会い、二人は恋に落ちる。
再婚の決まったサンドラは、息子と共にイギリスに移り住むことに。
しかしその最中、ジェルミはグレッグより性的虐待を受け、心に深い傷を負ってしまう。
義理の父親との関係を母に話せないジェルミは、徐々に精神を狂わせていく。
一方、「彼が父親を殺したのでは?」と疑念を抱く義理の兄・イアンは、ジェルミに対して愛憎渦巻く自身の感情を、コントロールできなくなっていくのだった。
手塚治虫漫画賞を受賞した、長編サイコ・サスペンスです。
連載中、コミックスや雑誌「プチ・フラワー」を買って、毎回ドキドキハラハラしながら読みました。
かなり読むのに勇気と気力のいる作品なので、軽い気持ちで読まないほうが良いです。
私は少女漫画界で一番画力が高い、脅威のデッサン力を持つと思っている作家が萩尾望都先生で、
少女漫画のみならず、少年漫画界にも多大な影響を与えた大御所さんです。
他にも名作を挙げればキリがないので、ここからはタイトルのみ挙げます。
「スター・レッド」(SF)
…私が最初に読んだ萩尾望都作品で、図書館で見つけ、そのあまりのカラー絵の美しさに衝撃を受けました。
「小夜の縫う浴衣」(読み切り短編)
…初めて読んだ、萩尾先生の短編。結婚の決まった少女・小夜が「独身最後」の夜に縫う浴衣。そこに込める彼女の「想い」とは…?
悲しみと喜びの間で微妙に揺れ動く、思春期の女性の心理を細やかに描いた逸品。
今思えば、川端康成の世界に通ずるものがあります。
「X + Y」(SF短編)
…「A-A'」との連作。体は男性だが、生殖能力のない少年を主人公にしたSF。
80年代当時のグラマラスなファッションを反映させた髪型や近未来衣装にも注目。
「メッシュ」(ヒューマンドラマ)
…パリを舞台に、女の名前を付けられ、幼い頃父親に捨てられ、以来ギャングの父親を憎み続ける青年・メッシュ(本名・フランソワーズ)と、ひょんなことから知り合った贋作画家・ミロン・ファレルとの友情、気まぐれで情緒不安定な彼に振り回される周囲の人々との人間模様を描いた、ヒューマンドラマ。
女装をしたかと思えば女と寝たりと、メッシュ自身が性自認に悩む姿も描かれます。
続く。