リーマンショック以来久々のクライシスが来た。

 

アメリカのダウ株価指数の落ち方が激しいのでそこに注目が行っているが、実はその先が恐ろしい。リーマンショックの時は「その先」が無かった。

 

今回はコロナショックとかも言われているが、経済活動から見るとコロナは一つのきっかけで、

世界中が外出禁止や営業自粛、自国から出ることも入ることもできないことになってしまったため、航空会社、ホテル、レジャー、小売などが影響を受けるというのは誰にでも分かりやすいことだ。

 

実際にコロナの話は年明けから中国、香港、シンガポール、そして日本が真っ先に「危ない国」として認識されたので、比較的対策も早かった。欧米人が東洋人をコロナコロナ言って差別していたのもこの頃からだ。ただ、3月からは様相が変わった。

 

韓国、イラン、イタリアが次々にアウトブレイク。そして今の欧州全域とアメリカに広がっていった訳だが、その間に石油生産で波乱があり、協調減産にロシアとサウジが合意できずサウジが一方的に増産開始、石油価格は1日で-25%となった。これがダウのノンストップの暴落のトリガーだった。

 

今回は、ここまではリーマンのような「金融危機」ではない。米国の5大投資銀行が全て無くなったような(リーマンは破綻、ベアはJPMが救済、メリルはバンカメが救済、GS、MSは銀行に業態転換した)そんな話は今のところは無い。巨大銀行でまずいのはドイツ銀行だが潰せる訳も無い。公的資金が入るだろう。

 

ただ、ここから体力の弱い金融機関も破綻もしくは合併が進むだろう。

 

リーマンショックの時は、各国の中銀にも金利操作の余地があったしQEと呼ばれる国債などの買入れ策もまだ限定的だった。しかし今、世界の主要国の政策金利は軒並みゼロもしくはマイナス。そして当たり前のように無制限でQE。お金を無制限に刷ってばらまくようなものだ。

 

中銀にもはや打つ手がない、打ち尽くした状況で世界の経済に何が起こるのか?ここからは未知の世界だ。


経済学のセオリーも(最近あるのかは知らないが)、金利のない世界、マーケットに「見えざる手」ではなく中銀の見える手が伸びてマーケットの主要プレイヤーなってしまうなどと想定もしていない。

 

マネーは経済の血液だと良く言うが、この例えを使うならば、カンフル剤や抗うつ剤を打ちまくって元気だった人が少し元気が無くなったからといって、栄養入り血液を輸血してしまうような感じになるだろうか。決してヘルシーではないが、また元気になる。でもその先その人はどうなってしまうのだろうか?

 

「その先」の世界は不安でもあり楽しみでもある。