ある意味、資本主義において付加価値の出しにくい単純労働の宿命ではありますが、何とも切なくなる記事です。


メード派遣業界、値引き競争が激化

 メード派遣業界で価格競争が激化し、値引きが急速に進んでいる。そのしわ寄せがメードに及び、生活コストを大きく圧迫しているようだ。7日付ストレーツ・タイムズが伝えた。

 業界関係者によると、価格競争の激化は、1,000 社を超える国内のメード派遣会社に大きな特徴の違いがなく、安値をアピールするしか差別化を図れない事業者が
多いため。ストレーツ・タイムズが15 社を対象に実施した調査では、半年前に約1,600 Sドル(約13 万円)だったメード派遣料は、現在は最低300 Sドルまで低下
している。

 一方、業者はメードから徴収する手数料を引き上げている。メードが値引き競争の犠牲者となっている格好で、同手数料は平均2,200 Sドルから4,000 Sドルに上
昇。メードのほとんどは月収が500 Sドル程度にとどまり、中には過去8カ月にわたって無給だったり、月10~20 Sドルの賃金で働いている例もあるという。


竹中平蔵さんなどはどんどん市場を開放して日本も気軽にメードを雇えばいいという論調ですが、メードが当たり前で、世界で最もメードがワークしている国の一つと言われるシンガポールで、こういう事になるということは、メードを受け入れて行く上では前提として考えておかなければならない事でしょう。

中華系・インド系の方々は、単に自分が優越しているだけと考えがちで特に心も痛まないのでしょうが、平等教育を受けて来た日本人はどうでしょうね。慣れれば単に安くて助かる、と思うのでしょうか。

ちなみにシンガポールで働くメードの中で一番人気は日本人。優しくて気前がいいと評判らしい。ただ、それが原因でメードに舐められて困る人も多い。次は欧米人。人の使い方がうまく、比較的ジェントル。コストは厳しい方。

その後はずっと空いてシンガポール人。とにかく切り詰めるし厳しいらしい。更にずっと離れて中国人、この辺から虐待率が上昇、最下位争いはインド人と中東系。こき使い方が半端無く、「事故」死もほとんどがこの雇い主の所からと聞く。

一概に人種で切るのもステレオタイプですが、ここシンガポールに住んで人種ごとのコミュニケーションスタイルの違いを見ていると、この分け方もあながち間違いではない様に思います。