経済が縮まってきています。

これまで、多少の増減はあっても、世界全体のGDPは増え続けると言われてきました。
ここまでの経済の歴史は確かにそうでした。なぜか?という問いに、常に技術革新があり、
付加価値の総和が上がっていくからだ、と答える人もいました。

とにかく、経済は成長し続けるのが当たり前、だったのです。

しかしこの数年の成長率は異常でした。世界全体が、どこもかしこも景気が良くなっていました。
これを、パラダイムが変わった、という経済学者もたくさんいました。

しかし、特にここ数年の経済成長は、日本を筆頭とする異常な低金利と、米国を筆頭とする
異常な個人消費が結びついて、異常な数字をたたき出していたのです。
低金利でいくらでもお金が借りられて、いくらでも消費できる状態だったのです。

低金利で、いくらでもお金が借りられる、信用膨張の状態になると、人のやることは同じです。
そのお金でギャンブルをするのです。まずは株に突っ込みます。信用取引もやります。
でも、信用取引は3倍くらいしかレバレッジが効きません。そうすると・・・次は不動産です。

不動産は、株に比べると面倒くさいので最初に手が出る商品ではありませんが、
みんながカネ余りで何かに投資したい、もっと借りて投資したい、そんな人たちに
打ってつけの商品が不動産なのです。

不動産を買うとなると、金融機関はたくさんお金を貸してくれます。頭金2割で買えば、
レバレッジは5倍。頭金1割ならレバレッジ10倍です。頭金無しで貸す人だっています。
というわけで、信用バブルには必ず不動産がつきものなのです。

いま、世界中の政府がお金をいくらでも金融機関に貸すよ、といっています。
それも、大企業がピンチになったら国が救うよ、とまで最近は言い出しています。
でも、一旦「信用」が崩れると、容易には回復しないのです。人間関係も経済も一緒です。

いろんな人(金融機関)が信用しあって、経済の血液であるお金がうまく流れるのであって、
今はみんな状態が悪く相互不信ですので、誰もお金を貸そうとしません。
それどころか回収しようとします。借り換えにも応じません。

誰でもいくらでも借りて使える、信用膨張の宴は終わりました。宴の後は片付けです。
宴の間に、「カネと市場がすべてを解決する」という価値観が世界を支配しましたが、
これが壊れました。これからの片付けが大変です。

上記の新自由主義が、かつてのマルクス主義のように、全く元気が無くなる時が来て、
片付けが終わりになるような気もします。