誰でも知ってる名作「三銃士」。
近衛銃士隊の英雄、アトス、ポルトス、アラミスと、
若きダルタニヤンが力をあわせて活躍する冒険小説だ。
この小説、こども向けの文学全集でもちょっと怖かったが、
もとの小説はかなり怖い。
女スパイのミレディが出てくる場面だ。
女スパイもヒロインのうち、と思っていたが、
そういう描き方ではなかった。
人をたぶらかし、裏切り、死に追いやる、
それを繰り返してきたことがだんだんあきらかになる。
イギリスの若き海軍士官はミレディの偽りのしおらしさに惚れて
脱獄を手伝ってしまい、つかまって処刑されることになった。
彼は処刑の直前までミレディの潔白を信じていたが、
汽笛の音を聞いて、利用されたことにきづく。
それを見た上級士官が、すべての執着をすてて
死んでゆきなさい、みたいなことを言うのだが、
その一連のくだりがとても印象的だ。
海と空、潮風、そして海軍の軍艦の上で
あっけなく処刑される若き士官・・・・
その光景が広がってくるような描写だった。
小説の後半、ミレディに最後がやってくる。
捕らえられたミレディに、罪状と刑が一方的に言い渡される。
それを聞きながら生へすがりつこうとする
ミレディの混乱振りが恐ろしい。
ラストの光の直前に描かれた、深い闇の部分だ。
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