とても切ないしハッピーエンドとは言えないけれど、
美しく清々しい映画だったという印象がとても強い。
とにかく、きれい。うつくしい。透明。
とてもよく晴れた冬の、真っ青な空と冷たく引き締まった空気がよく似合う映画。
“性欲処理の代用品”であるお人形さんが心をもってしまうというお話のため、
そういうシーンやヌードシーンなど多く出てくるけれど、不思議とエロさを感じない。
ただ単純にきれいだなー、と思ったり、ぐっと切ない気分にさせられたり。
ただ内容については正直、何だよく分からないというか。
ついリアルな展開に当てはめてしまいそうすると違和感が生まれてきて、
いやいやこれはそういう映画じゃないんだよ、と
自分に言い聞かせながら観ている部分もあったり。
この映画に流れる空気はほんとにたったひとつで、
誰しもが当たり前のようにそこにいて、当たり前のようにすべてを受け入れて、
それを乱す出来事や、人や、とにかく違和感がひとつも無い。
結構シュールというか、ファンタジーというか。不思議な世界。
だからそこに入り込まないと、なかなか受け入れられない作品でもある気がする。
いろいろと書きたいことがあるけれど(ARATAが素敵だったとか
板尾さんが切なかったとかペ・ドゥナが可愛すぎるとかラストあたりの解釈とか)
でもそういう感想を全面に出してしまうとこの映画の世界が壊れてしまうような。
心の動きはリアリティがあるけれど、それでもやっぱり、
あまりに美しすぎて、私は異世界として捉えてしまった。
と、思っていたけど、
これを書いているいま、(仕事中だったりしますが)
会社の窓。
ブラインドの隙間からビルとビルの間に少しだけ見える真っ青な空を眺めていたら、
空気人形の世界がふわーっと目の前に現れてしまいました。
んー。そのへん歩いてたりして。お人形さん。
そして空気人形のように心が空っぽな人間も、その辺うろうろしてるに違いない。
現実とファンタジーの境目って曖昧なのですよね。
観た直後は★3つかなぁなんて思っていたけど、
余韻でプラス1。★★★★☆