夕陽に向かって落ちて行く飛行機雲が
キラリと輝いた
この同じ空の下でキミと生きてるんだと思うと
何故だか頬が緩んだ
キミは近くて遠いけど
いつだってそこにいる
光だって音だって超えて
ボクはゆくよ
その先、へと
絶望した側が戦いに勝つことがある
ヴォルテール/アンリ王の歌より
夕陽に向かって落ちて行く飛行機雲が
キラリと輝いた
この同じ空の下でキミと生きてるんだと思うと
何故だか頬が緩んだ
キミは近くて遠いけど
いつだってそこにいる
光だって音だって超えて
ボクはゆくよ
その先、へと
2016/6/27 海難事故ノンフィクションボクが見た海
あの記事から2年。
この3月に、部屋から海への途中にある古民家カフェ、フランの女性オーナーが急逝された。
一杯ずつ、手早く淹れてくださるコーヒーにいつか引かれていたのだ。
でも、もう叶わない。
店もしばらくは閉まったままだった。
しかし、最近、週末に、誰かがやって来て、店に風を通しているのを見かけるようになった。
やはりご主人だった。
今日、うだるような暑さの中、帰宅すると、何やら店の中が活気づいている。
マンションにバイクを置くと部屋に上がらず、そのままカフェフランに向かった。
店内はSNSで集まったいわゆるマルシェの開催中であった。
やはりカウンターの中には元オーナーのご主人らしき男性と、コック服を着た若い男性が立っていた。
『今日はこのメニューでやってます』と壁の張り紙を案内される。
ボクはアイスコーヒーを頼んだ。
そして、話はやはりオーナーの事になっていった。
『だいぶ落ち着きましたんでね』
それからしばらく話し込んでいくうちに、海岸の漂流物の話しになった。
先の豪雨で東海3県の河川がすべて流れ込む伊勢湾。
その残滓が絶望的に打ち上がる、我が大野海岸。
投げ釣りの場所の確保も数段困難になってしまった。
『僕は見てませんけど、水難者も流れ着くらしいですよ』
『そういえば、何年か前、ボク、沖に溺れかけの人を見て、通報したんですよ。』
『ほう。』
『少ししたらヘリが二機、県警の巡視船まで。陸は海上保安庁と警察と消防。大変でした』
『その話、オーナーから聞いたよ。続きがあったの知ってる?』
『えっ?だって、発見に至らず、ボク、肩身狭かったですよ』
『あの夕方、暗くなりかけた頃、全身ビショビショの男性が店に来たみたいで。』
『話しによると、対岸の三重の方から海に入って流されたって言ってたみたいだよ』
『今となってはオーナーもいないし、真相は、解らないままだね。』
対岸のウィンドサーファーが陸から流れ出す海流に乗って、こちらの海岸に漂着していたようだった。
夏の夕暮れ、ヘリの爆音が残した強烈な記憶。
ご主人と距離が一気に縮まった瞬間だった。
その日もやはり今日のようにひどく暑い夕暮れだった