唾液腺は働き者 1日の分泌量、尿に匹敵 | 口腔乾燥症ドライマウス 唾液過多症(流涎) 味覚障害 嚥下障害
[ためになるお口の話(2)唾液腺は働き者 1日の分泌量、尿に匹敵]

(北海道新聞  2011年6月8日)


みなさんの口の中にどこからともなく現れる唾液は、口の周囲に存在する
唾液腺が血液を原料に作り出す消化液の1つです。

唾液腺は大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)といくつかの小唾液腺に分類
されますが、唾液の90%以上は大唾液腺からのものです。
大唾液腺といっても、いずれもミニハンバーグくらいの小さな組織ですが、
これらが共同して1日に分泌する唾液の量は成人でおよそ1~1.5リットル
で、ほぼ尿の量に等しいとされています。

唾液を含めた胃液や膵液など人間の体内で作られる消化液の総量は、平均して
1日に約7リットルといわれていますから、唾液腺は意外に働き者なのです。


唾液は、いつもわずかずつ分泌されて、口の中を潤している安静時唾液と、
ものを食べた時の刺激により、たっぷりと出てくる刺激時唾液に分かれます。
いずれも自律神経によって制御され、前者は主に口の中の環境を維持する
働きがあり、後者は食べ物を適度にぬらし、噛んだり飲み込んだりするのを
助け、消化吸収しやすい形にする働きがあります。


さて、いずれの唾液も成分にはあまり違いはなく、食べかすや口の粘膜から
剥がれたあかなどの固形成分を除いた液体成分の99.5%が水分です。
残りの0.5%の中に歯石の原因となるカルシウムやリンなどの多くの無機
成分やイオン、アミラーゼなどの酵素群、微量ながらもさまざまな機能を
有するタンパク質群など総勢500種類を超える物質が入っています。


意外に知られていませんが、唾液には私たちが生きていく上で有用な物質が
多々含まれています。
次回からそれらのいくつかを紹介したいと思います。




(北大病院歯科診療センター講師  兼平孝先生)