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最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学

『本当は怖いかすり傷~悪魔の待ち伏せ~』


Y・Hさん(女性)/68歳(当時)  無職

夫を亡くし長男夫婦と暮らし始めてから、嫁との間でぎくしゃくした関係が
続いていたY・Hさん。
植木の手入れの最中、あわてて割れた鉢植えを片付けた際、腕にかすり傷を
おってしまいました。
その後、傷口は治りますが、様々な異変が起こり始めます。


<症状>
(1)アゴが疲れる
(2)味がわからない
(3)肩のこり・首の張り
(4)呼吸しづらい
(5)口がひきつる
(6)全身けいれん


<病名>破傷風(はしょうふう)


<なぜ、かすり傷から破傷風に?>
「破傷風」とは、傷口から侵入した破傷風菌が原因で身体中の神経が冒される
病気。
50年前までは年間1,000人以上が死亡していた恐ろしい病です。
その後、衛生環境の改善やワクチンの接種で患者数は激減しましたが、今でも
毎年およそ100人が発症、その死亡率は20%近くある恐ろしい病です。

では一体いつY・Hさんの身体に破傷風菌が入り込んだのでしょうか?
魔の瞬間は植木の手入れの際に、転んだ時。
この時腕に出来たかすり傷に、ほんのわずかな土の粒が付着。
実はこの土に破傷風菌がついていたのです。
破傷風菌はどんな土の中にも50%の確率で存在している細菌。
屋外でケガをすると傷口から入ってしまうことがよくあります。

たとえ破傷風菌が入っても通常の免疫力があれば発病することはありません。
しかし、Y・Hさんは高齢なことに加え、環境の変化や家庭で受けるストレス
などによって免疫力が極端に低下していました。
そのため白血球の力が弱く、破傷風菌を全て退治することが出来なかったの
です。
そして高齢であることがさらなる災いを招きました。
ケガで壊れてしまった血管がなかなか再生しなかったのです。
そのため傷口には酸素が行き渡らなくなり、無酸素状態に。
それが引き金でした。
実は破傷風菌は無酸素状態になると突然増殖する性質があり、その時、猛毒の
神経毒素を生み出してしまうのです。


この毒素が最初に襲いかかるのが、アゴの神経。
Y・Hさんが最初に感じたアゴの疲れや味噌汁の味がわからなかったのは、
アゴや舌の神経が毒素に冒されていたことが原因。

そしていつにも増して感じた肩のコリと首の張り、さらに呼吸がしづらく
なったのも、増殖した毒素が、肩や首、さらには呼吸筋にまで入り込み、
筋肉を硬直させてしまったため。

あの異様な口の引きつりも、増え続けた毒素がアゴの筋肉を麻痺させて
しまったことが原因でした。


そしてついに最悪の瞬間。
破傷風菌の毒素に冒された神経は、音や光の刺激に過剰に反応する性質があり
ます。
不運にも、口が引きつった姑の姿を見た嫁の悲鳴が、全身けいれんを引き
起こしてしまったのです。


小さなかすり傷からも発症する破傷風。
その患者の7割が免疫力の低下した60歳以上の高齢者です。


http://asahi.co.jp/hospital/