急に寒くなったせいか、朝起きれない。
布団から出られないとかそんなレベルではなく頭が重い。眠りが深すぎる。こないだまで眠りが浅くて困ってたのに。なんだか変化が極端すぎる。ちょうどいいようにはならんもんか。

普通に生活を送れるようになった最近ではやはりこれからの人生について考えてしまう事が多い。
病気のせいで、これからの人生において『何をしたらいいか』という疑問が『限りある時間で何ができるのか』という疑問に変化した。
もともと長生きはしないだろうと軽く考えてはいたが、限りある中でしか生きられないと、そんな風に考えた時自分は何をすべきなのだろう。
何を残し、何のために、何を思いたいから、何をするのだろう。
ただただ無機質に生きて、時間がすり減っていくのだけはいやだ。
このまま毎日を続けることが、僕の人生においてよかったと思えるのだろうか。無心に仕事に打ち込むのもだんだん自分を無理に納得させようとしているような気がしてきた。

どうしていったらいいんだろう。

自分で信じて決めた道を歩くんだ。

わかってる。

でもどうしたらいいんだろう。

そんなに焦らずゆっくり考えよう

ゆっくりなんかしてらんねーよ

自分の人生なんだから。自分の思うようにやりなよ。

自分の事だけ考えて生きていけたら少しは寿命ものびるかもな。

結局答えにたどり着かない。
解法の見当すらつかない。

病気を告知された時、まさに断崖絶壁から突き落とされたような気分だった。何にぶつかる事もなく静かに海の底、光の無い深海くらいにまで落ちて沈んでいった。
このまま深海の闇に消えてしまえば楽になれると思った。
でも、生きたいと思った。空気が吸いたいと思った。
上を見上げると水面に微かな光が見えた。
だから一日も早く元の生活に戻ろうと思って必死に泳いだ。ごまで免疫力があがると聞けばすぐに買いに言って食べた。まだ軽くフラっても酸素なくても歩けるよって必死にアピールした。

元気になるんだ。

負けないんだ。

こんな所でくたばれない。

みんなのいる所に戻るんだ。
それを目標に必死にもがいて一応見た目には普通の生活に戻ってこれた。
なんとか落とされた海の底から浮き上がってこれた。

けど、

水の中から顔を出した先は広い海の真ん中だった。

誰もいない。

ここがどこかもわからない。

どこにいったらいいのかわからない。

今のまま漂って行き着く先が正しいのかもわからない。
かといって、自分から泳ぎだした方向が間違ってない保障もない。
失敗を恐れずに進む気概なんてなおさらない。

せっかく必死に浮き上がってきたのになあ。

そんな気分になる。

でも悔しい事に病気になってようやく自分の人生にしっかり向き合えるようになってきた気がする。

病気の事は自分のせいとはいえ、もっとマシな生き方できてたのにな。とか思わない生き方をしていきたい。