今日は朝起きてから熱っぽかった。
体温測ってみたら七度二分。
やっぱり発熱していた。

先日発症した帯状疱疹のせいで腰が痛い。
いや、全身痛い。

それなりに元気はあったのでなんとか仕事に。

昼過ぎから熱がガンガン上がってくる感じが止まらなくなり、ああ、これはアカンと思った。
なんとか仕事は乗り切り、電車にて病院へ。帯状疱疹の診察時に発熱したり、頭痛が出たら救急でもいいから診てもらいにきなさい。と言われてたので怖くなってたまらず向かってしまった。

救急処置室で熱測ったら八度まで上昇。あちゃー。仕事いくんじゃなかった。
点滴だけやってもらってまた下半身にできた帯状疱疹の確認のためパンツを下ろされ、下半身やオケツをまじまじと眺められる辱しめを受ける。
今日の先生はいつもの主治医ではなかったが、優しい先生だった。
ぼんやりとしながら点滴を受けているとなにやら隣が騒がしい。
医者たちがぞろぞろとやってきて、なにやら準備を始めだした。
ここは救急処置室だから救急車で運ばれてくる人を処置する部屋でもある。
なにやら騒がしい。
搬送患者の名前と年齢が聞こえてきた。
○○さん、96才

その後何を喋っているかわからなかったが、はっきりと聞こえた言葉があった。

心肺停止

どうやら、心肺停止した患者が運ばれてくるらしい。
病棟で夕食を食べたあと、呼吸停止したとの情報が聞こえてくる。

搬送はまだらしく今から運ばれてくる状況を前に、医師たちは冷静に作業の確認をしていた。
心マとか、ラインをとるとか処置に関する言葉が聞こえてくる。
なかには少し笑い声みたいなものも聞こえたが、心肺停止患者を向かえる医師の気持ちはどんなものだろう。想像がつかなかった。

患者が運ばれてきた。
僕の点滴はまだ終わらない。

部屋の空気が一変した。

『心マ続けて!』
『ラインとって!』
『家族に連絡は!』→『いま連絡しました!こちらに向かわれています!』

ドラマでしか聞いたことのないようなセリフがカーテンを一枚挟んだだけのすぐそこから聞こえてくる。

心臓マッサージでベッドが揺れる振動が伝わってくる。

怖かった。

今自分のすぐ隣で命の火が消えようとしている。
次は自分の番なんじゃないかとよくない考えが走る。
まだ元気といっても何が起こるかわからない体。

人間みんないつか死ぬ

当たり前の事だけど
目の当たりにすると
形の無い恐怖を覚えずにはいられなかった。

点滴が終わると早々に帰された。
隣では生死のやり取りが行われてんだから、そうなるよな。
そこにいるのがとても申し訳ない気になった。

薬をもらって最後に救急受付まで行くと、受付の前に先ほどはいなかった人がちらほら。

あの人の家族だ。

すぐにわかった。
中年夫婦といった感じだったが、お互いに下を向いたまま会話もなく、ただ事じゃない空気とはこの事を言うんだろう。そう思った。

近くの椅子にも言葉を交わしている女性二人がいた。
他に人もいないので、静かな院内に言葉が響いていた。

『いつも通りテレビつけてごはん食べたはったんです』など聞こえてきた。

どうやら同じ病室の患者だろう、現場で目にした事を家族に伝えていたのかもしれない。

足早に病院を出てタクシーに乗り、家に帰る。
体はしんどいが、しんどい事を忘れてしまいそうなほど頭がいっぱいになった。

なんだか町の景色がいつもより暗く感じた。タクシーのAMラジオから流れる名前も知らない悲しげな
洋楽に胸をえぐられるような感覚を覚えた。

自分の死を身近にあるものかもしれないと思わされた事で、このブログを読んでいる方たちへ伝えたい事があります。

検査にいきましょう。

ほら、そこのあなたです。

HIVもらったかもしれないって心当たりから陽性者のブログを読んでるあなた。

大丈夫、大丈夫って根拠の無い自信から、病気から目を背けているあなた。

恥ずかしくなんかない。
淫乱な人が受ける罰なんかじゃないよ。
今は理解のある先生だってたくさんいる。

お願い
自分の人生から
逃げないで

たとえ陽性でも毎日薬飲むだけで生きていける

ゲイのみんなならもういまやこの病気から目を反らす事はできないよね。

失うものもあるけれど、放っておいたら命を失うかもしれないんだよ。

これは終わりじゃないんだよ。