今回はこのテーマで書くことにしました。モータウンビート!
そもそも音楽のレーベルであるモータウン なのに、その名前を冠したビートってどういうこと?なんですよね。
まず最初に言い切ってしまうとすると、8ビートだとかスイングだとかワルツだとかサンバだというようなものの並びに、モータウンビートというものは存在しません。ピリオド。
とはいえ、それでもやはり、モータウンビートを呼ばれるリズムパターンみたいなものはあったりするし、、、。でもそれは実はね、みたいな感じもあるのです。ということで、モータウン曲をたぶん150曲くらいは叩いたであろう私めが代表的なモータウンのビートについて解説します、、、、ハハハ、だいぶ偉そうですね。そんなに上から言うほどのことはないですよ。けどモータウンのヒット曲の個性的な際立ったビートについてちょっと書いてみたいと思います。
まず、ネットなんかでモータウンビートって検索すると、たいていこの曲、このビートが登場します。
You Can't Hurry Love by The Supremes
You Can't Hurry Love - The Supremes
確かに大ヒット曲だし、ご機嫌なビートであるのは間違いがないです。日本の歌謡曲なんかでもこのビートを使ってヒットした曲がたくさんありますね。
けど、正直に言ってこのビートは決してモータウンの代表的なビートではありません。同様のビートの曲は同じThe Supremes の、この曲の二番煎じの曲くらいしか思いつかない。ボクがモータウンビートを選ぶなら、この曲は入れないか末席か。
ということで、真にモータウンの代表的なビートっていうのは、こんな感じです!
まずは初期のH-D-Hの曲の典型的なパターン。4拍すべてにスネアドラムが鳴るパターンです。
4拍子のポップスにおける基本のドラムパターンは、スネアドラムはワン・ツー・スリー・フォーのツーとフォーに鳴ります。ウンタンウンタンな感じね。こうすることで、スイング感やグルーブ感が演出できます。が、H-D-Hの多くのヒット曲では明らかに4拍すべてにスネアドラムを鳴らすことを意識していたようです。こうすることで、スイング感よりもスピード感、ドライブ感が出てきます。演奏者的にはテンポが速くなってしまいがちなんですが、そこは手練れのミュージシャンですから確実に演奏していますね。おかげでゴキゲンなアップテンポが演出できているわけです。この手法はH-D-Hのみならず、以降の多くのヒット曲で採用されています。
ということで、これこそが典型的なモータウン・ビートだと、ボクは断言します。
このヒット曲はあまりに多いのですが、判りやすいH-D-H曲から2つほどをどうぞ。
Back In My Arms Again by The Supremes
Back In My Arms Again - The Supremes
I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch) by Four Tops
I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch) - The Four Tops
上ではドラム目線で書きましたがモータウンのビートを書くときに、ベーシスト、特にこの個人を書かない訳にはいかないでしょう。本当に多くのベーシストに影響を与えた人、James Jamerson。
彼のゴキゲンなベースラインが聴ける曲は、モータウン には多くあるのですが、ボクの中では特にThe Four Tops の曲で際立っているような印象があって。今回は下記の2曲をご紹介します。
James Jamersonはどうも右手は人差し指一本で弾いていたらしいんですよね。それでよくもこんな細かなフレーズ弾けるね!というのと、この曲、このメロディに対して、そのフレーズ?ってなプレイも多いんですよ。もちろんゴキゲン。ベロンベロンに酔っぱらってもすごいプレイをしていたというような、多分に都市化したような伝説も多くあります。
そのすごさに気づいたのは実はアメリカ人よりイギリス人が先だったようで、モータウンがイギリスにツアーに出たときには、本人も驚くほどにJames Jamerson は大人気だったらしい。歌手よりもベーシスト!
Bernadette by Four Tops
Standing In The Shadow Of Love by Four Tops
Standing In The Shadows Of Love - The Four Tops
さて、紹介するのもはばかれるほどの有名曲でご紹介するのは、、、、正確にいえばこれをモータウンで縛るのは無理があるかなとは思いますが、これほどゴキゲンにグルーブしているのは、少なくともこの頃には衝撃的であったようです。ボクが高校生ドラマーだったころに、これをコピーしようとして、普通の8ビートかと思って演奏しても、まったく雰囲気が出なかったのを覚えています。すごーく軽い感じで演奏されるスイング感あふれる16ビートの意味が判ったのは、悔しいかな、だいぶ大人になってから、、、けど、判ってもこの感じはだせないのよねぇ。この曲をレコーディングしているプロも多いですが、このビートでやる人はほとんどいないか、出来てない。ボクらが演奏するときも、このオリジナルなビートで演奏することはほとんどないなぁ。それくらい際立ったグルーブの曲です。ビートです。もう一曲の方は、同じアルバムに収められた兄弟曲。ビートの共通点もさることながら、どちらの曲も今の時代にも通ずるメッセージを込めた曲です。
What's Going On by Marvin Gaye
Mercy Mercy Me (The Ecology) by Marvin Gaye
Mercy Mercy Me (The Ecology) - Marvin Gaye
引き続きMarvin Gayeから。Marvin はいくつもモータウン で問題作というか傑作を残していますが、その一つ、アルバムI Want Youからです。これまたドラマー目線で申し訳ないですが、次の2曲はどちらも同じドラマー James Gadson。つい最近に惜しくも他界されました。彼の代表的なプレイは右手でハイハットを16分音符で刻むパターン。それも高速で。そのグルーブ感を気に入ったのがMarvin Gaye であり、Marvin が気に入った作曲者である Leon Ware だったのね。右手で細かに叩いているのに、、、というかだからこそか、思ったよりも抑制の利いたグルーブになっていて、このアルバムのエロイ雰囲気によくマッチしているように思います。個人的には目指したいプレイでもあり、、、
ベースラインが細かく動いていたりしますが、これはJames Jamerson ではなく、確かChuck Raineyのはず。
All The Way Around by Marvin Gaye
All The Way Around - Marvin Gaye
I Wanna Be Where You Are by Leon Ware
I Wanna Be Where You Are - Leon Ware
さて、これはビートというよりは曲想といったほうがいいのかもしれないけれど、サイケデリックファンクの2曲です。ここでは、ドラム、ベースに加えてギターのカッティングがとても重要な役割を担っているように思います。それにパーカッションやストリングスなんかも加わって、独特のサイケデリックなグルーブになっています。サイケデリックなモータウン については、以前書きましたが、やはりモータウン のビートを語るときにこの雰囲気は取り上げない訳にはいかないなと思います
Psychedelic Shack by The Temptations
Psychedelic Shack - The Temptations
Papa Was A Rollin' Stone by The Temptations
Papa Was A Rollin' Stone - The Temptations
さて、音楽のビートにレーベル名を冠して論じようというのも、考えてみれば無茶なことかもしれないけれど、ま、そこはモータウン Fan ということでご容赦いただければと思います。
いやいや、俺なら、この曲を選ぶぞ、とか、このビートを忘れてるぞとか、、、そういうご指摘は大歓迎です。
さーて、次回は何について書こうかなぁ、、、。