年間を通して収穫できる果実
「ノニ」って知ってる?と聞かれたら、「それって何?」と思わず聞き返したくなるでしょう。あまり聞き慣れないのはポリネシア語の響きだからです。
ノニは、高さが十メートルにも達する、アカネ科の小高木の常緑樹です。学名をモリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia)といい、日本では「ヤエヤマアオキ」と呼ばれています。
ノニは白い花を果実表面に咲かせ、その表面はでこぼこした楕円形で、大きさは、長軸のほうの長さが一〇センチくらいになります。
熱帯地域においては、ノニは一年中開花し、実をつけるという大変すぐれた特徴をもっています。このため、年間を通して途切れることなく果実を収穫でき、いつでも新鮮な果実を利用することができます。
私たちにとっては、自然から与えられた大きな恵みの一つといえるでしょう。

果実は独特な匂いを発する
ノニの果実は成熟するにしたがい、独特の匂いを発するようになります。それはチーズや銀杏の匂いに似ていますが、お世辞にも食欲をそそるような良い匂いとはいえません。
未熟果実は緑色で硬いのですが、成熟すると黄色になって果肉が柔らかくなり、果汁を多量に含むようになります。果汁には、やや酸味があります。
この果汁からノニのジュースがつくられるわけですが、先述のように独特の匂いがあって飲みにくいという理由から敬遠される方もおられるでしょう。
しかし、次章で詳しく述べますように、このいやな匂いの成分こそがノニに特徴的な有効成分の一つなのであり、これがいくつかのすぐれた薬理作用に関与していると考えられています。
昔から、「良薬は口に苦し」といいますが、まさにノニは、その典型ともいえる薬用植物なのです。

ノニの原種メンクド・ベサール
ノニは、インドネシアなどの東南アジアや、ポリネシアの島々、そして中国やインド、ハワイ、沖縄などといった地域で見られる植物です。
インドネシア政府によれば、ノニには一〇〇種類以上の亜種が存在するとのことです。
ノニのもともとの原産地は、インドネシアのモルッカ(現・マルク)諸島です。インドネシアで古くからメンクド・ベサール(Mengkudu besar)と呼ばれるノニの原種が自生している地域です。
メンクド・ベサールというのは「偉大な果実」という意味で、これに因んでヨーロッパ人はノニに「Great Morinda」という英語名をつけ、さらに「ノニの女王」(Queen of the Morinda)と賞賛しました。





熱帯産“薬用果実”ノニの熟成パワー
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