わたしがツクールさんの家で暮らすようになって半年が過ぎた。
学校と奨学生の両立生活にもようやく慣れて来たけど、朝起きるのはやっぱり辛い。
古めかしい魔女科の全身黒服には正直ちょっとうんざりしている。あれは裾をよく引っかけるし時代おくれだ。街中を歩くとジロジロ見られるし。
でも呪い(まじない)の勉強は楽しい。
箒の乗り方もだいぶうまくなった。
薬草の見分け方もだいぶおぼえた。
満月の晩に開かれる夜会は、とても楽しい。
学区外の魔女科の生徒もあつまるから、新しい友達もできるし、魔女バンドのライブさいこー。
わたしも部活に入りたいけど、奨学生には時間がない。
ツクールさんはお弁当まで作ってくれるし、発明のアシスタントは魔力とはまったくちがう可学的な知識が必要だけど、これもすごく面白い。
エネルギーの相互変換とかエントロピー制御ってなんのことだかよくわからないけど。
あの人の手こそ、ホントの魔法の手なんじゃないかしら。
なんだか近頃ツクールさんの様子がおかしい。
また恋でもしたのかしら、ほんと惚れっぽいし、可愛い女の子にはだれにでも優しいからなーあの人。
朝食を食べてる時、わたしをジロジロ見て「そろそろかな」とか云ってたし?
なんだか、ちょっとやな予感。魔女の勘かしら。
日曜日の朝、ツクールさんが「よし今日は、迷宮に出かけよう」といった。
まるでピクニックにでも出かけるみたいに。
ええええぇー。
ツクールさんはあちこちへ出かけていて、わたしも何回か連れていってほしいとおねがいしてたのに「危険だからダメ!」とあっさり断られつづけてたから。
うそみたい。うふふ。
うれしい。
朝はやく起きて、ツクールさんはもうバスケットにお弁当をつめていた。お茶を入れた水筒もある。
わたしは魔女科の制服ととんがり帽子と杖。魔女の初期装備(薬草やまじないに使う触媒や鉱石。銀のナイフに儀式用のろうそく・魔法の教科書など)まで持たされた。
こんなのはじめて。
ツクールさんは出かけまスーツに、お弁当と水筒。お散歩用の万能ステッキ。
かなりゆるゆるの装備。
わたしたちは南にある迷術の森へ向かった。
ここには魔術館と野外魔術館があって、魔術館は初心者用の迷宮になっているんだって。
なんだか楽しみ。
ツクールさんもなんだか楽しそう。口笛なんか吹いてるし。
わたしたちは入場券を買って中に入る、学生1枚、大人1枚。
迷宮の中にはちゃっかり財宝もあるそうだ、でも危険な罠やモンスターも
たくさん。なんだかちょっとドキドキ。
よし、ツクールにさんに良い所見せなくちゃ。
つづく。
2008/06/06
のまま放置してた物語。
けっこう面白いですね。