慢性連日性頭痛は、1日4時間以上の頭痛が1ヶ月に15日以上、3ヶ月以上にわたって続くものである。難治性の辛い頭痛だが、分類や診断、治療について、百家争鳴の状態である。

Cephalalgiaの4月号で、CMMOHの疾患概念に関わる論争についてレビューが掲載されている。結論としては、2006年の付録基準(J. Olesen, et al. New appendix criteria open for a broader concept of chronic migraine. Cephalalgia 26 (6):742-746, 2006.)を普及すべきというものである。

臨床的にはこの付録基準で問題ないと思う。ただし、付録基準でMOHと診断した場合、乱用薬物を中止しても頭痛が軽快しなかった場合には診断を変更する必要があり、研究目的の診断分類としては問題があることも注意を要するだろう。


Sun-Edelstein C, Bigal ME, Rapoport AM (2009) Chronic migraine and medication overuse headache: clarifying the current International Headache Society classification criteria. Cephalalgia 29:445-452.

最近、慢性連日性頭痛の概念の理解や分類が進歩してきたが、慢性片頭痛(CM)と薬物乱用頭痛(MOH)を含め多くの論争がある。2004年に刊行されたCMMOHの基準から、繰り返し改訂され、より広い概念となったが、論争の決着はついておらず、診断基準改訂によって、むしろ混乱を増している。著名な頭痛専門医でも、どの診断基準を使うべきか確信がもてない状況である。CMMOHの疾患概念に関わる論争についてレビューした。慢性連日性頭痛の診断にかかわる問題を明示するために臨床症例も提示した。結論として、2006年の付録基準を正式な診断基準としてすべての頭痛研究者、臨床家、国際頭痛学会、米国頭痛学会、欧州頭痛学会が一丸となって、知識の普及をはかるべきである。