11月7日(月)、今日はStarwave Recordsの主催するライブ当日。
朝6時半に起床する。
最近、音楽と全く関係のない雑務にも追われてしまっている僕は、正直なところかなり疲れていた。
そこで、思い切って前日はガッツリと一日、自宅で休んでやった。(二日酔いも災い...いや作用して。)
おかげで変な疲れも残っていなく、久々に目覚めは良い。
良い気分で僕は熱〜いシャワーを浴びる。(ちなみに僕は夏でも熱〜いシャワー派だ。)
シャワーを浴びている最中、今日の世間様は平日のドアタマだということに気がつく。
ふむ、あぁなるほど。寝起きに聞こえた鳥の鳴き声も、心なしかシャキッとモードだったわけだ。
果たしてド平日のドアタマの夕方から、暗くて狭いウス汚れた地下2階の小さな空間に、頭のイカれた派手な兄ちゃんばかりが掻き鳴らす音を、一体誰が好き好んで聴きに来るのだろうか。
そんな事が些か僕は気になり始めたが、すぐにくだらない事だと忘れ、シャワーの温度をもう一度上げる。
今朝はまたとびきり寒い。
シャワーを浴び終わった僕は、iTunesを開く。
今朝のBGMは何にしようか5分程迷い、その5分で1曲聴けたであろう事に気づく。
何でも良いからとりあえず再生しておけば良いものを....
結局決めたのはQueenである。ベタではあるが、1986年のWembleyでのライブにしよう。(最近またマイブームなのだ。)
前回のハロウィンイベントからおよそ10日。今回も同じく会場は、HOLIDAY SHINJUKUである。
新宿へ向かう前に僕は2、3件またも雑務で、各所回ったり人と会わないといけなかったりがあったが、ササッとそれらをこなす。
まったく今日に限って、朝の9時から用事なんて入れるもんじゃない。
さてさて、僕を乗せたイエローキャブもとい東京無線は明治通りを南下していき、距離的に東新宿と新宿東口のちょうど真ん中辺りにある会場へ。
そうだ、今日は僕の友人も観に来ると言っていた。
その友人はあまりビジュアル系には精通していないから、場所を教えておいてあげようと連絡を入れておく。
道は比較的空いていて、時間も料金もそこまで掛からず。
平日午前は、わりとこういうところで優秀である。
時刻は11時を少し過ぎた頃だ。
会場入りしてエレベーターで楽屋フロアへ。
"Embrace様"とハッキリ書かれたスペースにちゃんとヘアメイクさんが待っててくれていたのに、僕は天然ボケをかまし、
「ちょっと場所探して来るね」
と、そのEmbrace用のスペースがどこにあるか探しに行ってしまう。
うちのヘアメイクがそこで待ってるんだから、そこに決まっとろうに....彼女はナンノコッチャ?状態であった事は間違いない。
まぁとにかく、珍しく僕が1番早く会場入りしたが、その後すぐにIZANAGIが来る。
つくづくどの現場でもIZAやんと僕とで、全出演者の中で身長のツートップを飾ってる自信があるな、と特に意味のない事をふと思うが、特に意味のない事なので口にするのはやめた。
そのまま彼はすぐにメイクに取り掛かる。
残りのメンバーも順に会場入り。
通例Embraceでは、大体僕が1番最後にメイクをする。
その間に諸々リハーサルの準備や、PAだの照明だの何だのと打ち合わせる事が各々あるのだが、それらを全て終えた僕は楽屋で眠たくなってしまう。
さすがに目覚めの気分が良かったからと、早く起きすぎてしまっただろうか。
これではイカンぞと喫煙所に行き煙を燻らせるが、僕のタバコは別にメンソールではないので、特に意味はない。
そうだ。外の空気を吸おう。
外は強烈な寒さだった為、目はバッチリと覚めた。
しかし寒すぎたが故、今度はくしゃみと鼻水が止まらないではないか。
うーむ。そこまでトレードオフでなくとも良かろうに。
鼻水を堪えながら楽屋に戻ると、どうやらそろそろリハーサルの時間だ。
どこをチェックしようかと打ち合わせ中、新曲の練習でもしようかと軽くボケてみたら、わりとウケて嬉しかった。
持ち時間の都合で、その新曲はこの日セットリストからカットになっていたのだ。(このくだりを文章で伝えるにはダラダラと長くなるから、今これを読んでいる君にまでウケようとするのはやめておく。)
リハーサルが終わり、僕もメイクを始める。
14時半を回ろうかというところ。およそ本番まで1時間と30分。
相変わらず先ほどから止まらなくなった鼻水を堪えながら、今日も僕の右目と左目には、呪いの黒魔術が施されるのだ。(IZAやんみたいな事言ってら。)
気がつけばオープンの時間も過ぎており、頭のイカれた派手な兄ちゃん達が音を掻き鳴らし始める時間だ。
黒魔術を済ませた僕は、ドラミングの為の身体の軽い調整と、あとはひたすら控え場所で待機。
実はこの日は会場内でも寒い場所と暖かい場所の寒暖差が激しく、寒さと暑さの両方が苦手な僕にはとても応えた。
そして迎えた16時。
あとは皆が観てくれた通りの、オンタイムな20分間。
あぁ、これがド平日のドアタマの夕方から、暗くて狭いウス汚れた地下2階の小さな空間に、頭のイカれた派手な兄ちゃんばかりが掻き鳴らす音を、好き好んで聴きに来てくれた愛おしい人達なのか。
と、思ったかどうかは、記憶が定かではない。(もちろん感謝はしているゾ!)
どんなライブも、あっという間に終わる。
いつもいつも、あっという間に終わる。
まして、短い20分間だから余計にそうだ。
汗だくで、フラフラで、楽屋に戻る。
ライブハウスにも、熱〜いシャワーの出るシャワー室があったらいいのに。
こうして、いつもながら劇場型(=激情型)なステージを終えた僕らは、ミーティングと軽い食事(=長い飲酒)をする為に場所を移動。
また明治通りを、今度は北上する。さすがに朝のようには空いていないが、元々大した距離ではない。
そんな車中、例の観に来ていた友人から一言、LINEが届く。
「ハロウィンみたいで楽しかったよ」
なるほどそうか。我々にとってハロウィンなんて先週出演したイベントで終わっていて、今日は通常運転なEmbrace、いわば日常なつもりではあったが、友人にとってはお化粧バンドの通常は非日常的であるわけで。
ロックをやるという事は、世間様の当たり前ではないという事を感じるに、充分な感想だった。
そして19時。
僕らは、日常と非日常の入り混じる、暗くて狭いウス汚れた地下1階の居酒屋に、今夜も消えていくのであった....
