今日のテーマ

TARCでコロナの重症化を予測

 

 

アトピーの患者さん(AD)では血液検査において、

  • 黄色ブドウ球菌、マラセチアなどの表皮に生息するものに対しての特異的IgE
  • 食物アレルギーを併発すれば原因の食物抗原特異的IgE
  • Alb アルブミン 体の中のタンパク質の指標で栄養状態を反映します
  • TARC(CCL17)

を評価します。

ADはTARCが上昇し、数値としてアトピーがどの程度悪いのかを示すことができます。

 

毎回ではなく、初診時でも軽症の方では血液検査がしないことのほうが多いです。

 

 

 

今日はこの 「TARC」

について紹介します。

 

 TARC(thymus and activation-regulated chemokine)

  • 表皮角化細胞などで産生されるケモカインの一種で、皮膚の病変部位などにTh2細胞を遊走させる働きがある。
  • アトピー性皮膚炎ではTARCの作用によって集積したTh2細胞がアレルギー反応(IgE産生、好酸球の浸潤・活性化など)を亢進して、症状を悪化させると考えられている。
  • 血清中のTARC量は、アトピー性皮膚炎において重症度を反映して変動することが示唆されており、皮膚病変の程度と重症度を知る指標として、また、治療効果判定の指標として有用と考えられている。

 

 

 

 

このTARCの値が、新型コロナウイルスの重症化予測に利用できるのではないか?という論文が日本から出ていました。

 

Sugiyama, Masaya et al. “Serum CCL17 level becomes a predictive marker to distinguish between mild/moderate and severe/critical disease in patients with COVID-19.” Gene vol. 766 (2021): 145145. doi:10.1016/j.gene.2020.145145

 

 

まとめ

  • COVID-19患者さんから血液サンプルを採取しました。
  • 重度/重篤な症状の発症を予測するものとして、IFN-λ3、IL-6、IP-10、CXCL9、およびCCL17の5つの要因が特定されました。
  • 平均CCL17値は、軽度/中等度のグループよりも重度のグループで有意に低いことがわかりました。

 

 

TARC(CCL17)が重症の人では43と低い値です。

 

TARCの基準値は

6~12か月 1367未満    

1~2歳    998未満    

2歳以上   743未満 

成人    450未満 pg/mL

 

ということですのでかなり低い値であることがわかります。

 

 

 

 では、アトピーを治療せずに、TARCを高くしておけば、コロナ重症化を予防できるのか?

これは少し間違った考えかなと思います。

 

 

 

 

皮膚に炎症があると新型コロナにはかかりやすいという報告がこれを証明していると思います。

Patrick MT, Zhang H, Wasikowski R, Prens EP, Weidinger S, Gudjonsson JE, Elder JT, He K, Tsoi LC. Associations between COVID-19 and skin conditions identified through epidemiology and genomic studies. J Allergy Clin Immunol. 2021 Mar;147(3):857-869.e7.

 

 

 

 

すくなくとも基準値が高めであるTARCで小児の重症化予測は難しいのかなと思います。

 

 

堀向先生(ほむほむ先生)も記事を書かれていましたので、そちらも参考にどうぞニコ

 

 

 

 

 

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