|
「百瀬1尉、今日防衛省で能力者の攻撃に対する 対策会議が行われた。我々は有事の当事者として 事件の状況説明をし、各々の所見も述べてきた。
そこでだ、防衛省並びに政府の見解は、正式な日本版 能力者部隊の早急な整備と実戦への投入だった。 だけだという事が確認された。 実戦配備する事だ」
「3ヶ月ですか…現状の育成状況はどうなんでしょうか」 との同調訓練中だ」 30%以下だ」
「あと3ヶ月で実戦配備は?」 すればシステムと被験者、両方がダウンしてしまう」 のでは?」
「それで、真喜志1尉に次の実権台になれと仰るんでしょうか?」 部隊の再編だ。不適格者までを育てあげる時間的余裕は最早 無い、真喜志1尉には実戦の中で候補生を一人前に していって 貰うという事だ」
「そんな!実戦の場でそんな事が可能だと思われますか? 実験室で結果が出せないものを持ってきて現場で見切り発車 するとは。艦隊全体が危うくなりますよ」 その中で部隊を使える状態にしていく、適応性のあるものだけを 残していくんだ」
「自分は反対です、養成もしていない新兵を実戦投入するなど 旧軍でもやっていなかった事です。特攻隊ですら最低限の養成は していました。 いったいそんなプランを本気で始動させるおつもりなんですか? そんなド素人部隊、前線に出た途端に壊滅させられますよ」 真喜志1尉だ、これは決定事項である」 無能軍艦になり下がったんでしょうか!」
梅田に掴みかからんばかりの百瀬を真喜志1尉が必死に押し止めた。 自分は命令に従います」
「艦長、候補生は今何処にいるのでしょうか?」 真喜志1尉は梅田に向き直った。
「きみさん、先日受けて頂いた適正検査の結果が出たんですが」 百瀬1尉はびっくりして梅田ときみの顔を見比べている。 小林も信じ難いという表情で梅田を見た。
「艦長、ちょっと待って下さい。この人達のシンクロ率とはいったい 何ですか?」 きみさん達には正式なチームゆきかぜのメンバーとして訓練を受けて 貰う」
「何ですって!この人達が…」
「艦長、自分をここへお連れ頂いた意味がやっと分かりました。 この人達と部隊を作るという事なのですね」 真喜志1尉は冷静に梅田に言った。 百瀬はきみ達を見渡した。 大きな要素になるんだ、真喜志1尉同様、現状で民間人かどうか というのは取るに足りない要件だ」
「何それ!」 百瀬の言葉にカウンターの中でなっちが反応した。 きみが再びなっちを制した。 他の人達もただの素人じゃないと思ってたけど。そうですか、 クラブMとはそういう所だったのですね」
「じゃあ美弥子、この人達は?」 たくさん集まっていました」 と思います」
「そうか!それほど期待出来るか」 梅田が思わず身を乗り出したが、真喜志は冷静に言い切った。
「素質はともかく、この人達の覚悟はどうなんでしょうか?」
きみはカウンターのなっちとナッキーを見た、二人はカウンターから 出てテーブル席にやってきた。 自分達の力がみなさんや五島さん達のお役に立つのなら、喜んで 協力させて頂こうと思っています」 きみの宣言に後の三人もうなずいた。
「そうですか。でも、今のうちに言っておきますけど、これからの道は 協力などというレベルではとても進む事の出来ない命懸けの仕事に なります。一旦始めたら二度と後戻りは出来ません。
「美弥子…」 百瀬は呆気に取られて真喜志を見た。
「望むところだわ」 ナッキーが進み出た。驚いて振り返ったきみも改めて真喜志に対して うなずいてみせた。
「分かりました。艦長、自分は皆さんの加入に異存はありません」 異存ありません」
「きみさん、これはあなた方を利用するだけに終わるかも知れない プロジェクトです。しかし、今の我々にはもう選択肢がありません。 明日防衛省から迎えを寄こしますのでドクターと一緒にお越し下さい」 きみがひなを見たが、ひなは無言でうなずいた。 きみの一言でクラブMはいつもの活気を取り戻した。
吹っ切れたチームゆきかぜの勇士達は日付が変わるまで 飲み明かした。百瀬の一気飲み指令を食らった小林と大田は 以降2日間、二日酔いに悩まされる事になった。
つづく |