「まあまあナッキー…」
ひなはナッキーの腕を引っ張って座らせた。

 

「ねえなっち、高木さんはここをどう考えたの?」
「うん、まずこの次にその他の国として21の国の名前だけが

出てきて、

これらの国は遠くて距離とか家の軒数は分からない。その南に

狗奴国(くなのくに)があって女王の国に属していない。

帯方郡から女王国へは12000余里で着く。となってるのね」

 

「12000余里?ちょっと待って、今までの里数を足すと…」

ひなが電卓を叩いた。
「えーっと、
 帯方郡から狗邪韓國が7000余里
          対馬まで1000余里
          壱岐まで1000余里
        末盧國まで1000余里
        伊都國まで500里
          奴國まで100里
        不彌國まで100里
       ここまでで10700里ちょっとか。あと1300里ね」

 

「そうなのよ、でも先生はその1300里はゼロって言ってるのね」
「あんた何言ってるの?1300がゼロ?」

 

「つまりね、この12000余里っていうのはどこから出てきたのか

って事なのよ」
「うーん、今ひながやった足し算からだな。それ以外ありえない」
「うん、その通りよドクター。それじゃあ足し算した数字を見てみると

海を渡ったところに余里が付いてるわね」

 

「ああそうか、海路は汽船航路の4割増しだったわね」

ひながなっちを見た。
「うん、先生は例えば帯方郡から狗邪韓國までの7000里に10%、

狗邪韓國から末盧國までの3つの1000里にそれぞれ20%の誤差

計算すれば、700里+600里で1300里になると考えたのよ」

 

「あーそうか、海路に10~20%の誤差が付いてるという計算か」

ドクターがうなずいた。
「そうなの、まあ私は帆船航路の40%のオーバーが狗邪韓國から

末盧國までの3つの1000里と考えて1200里、あとは韓国内も

含めた陸路の誤差が100里と考えてるんだけどね」

 

「韓国内!何それ?」

 

ナッキーが驚いてなっちを見た。

「うん、帯方郡から船で出発した使節は直ぐに上陸したと思うのね」
「へー、どうして?」

 

「うんひな姉さん、やっぱり外国への魏の使節団っていうのは

100人位はいた大行列だったと思うのね。

まあ、正式な大使みたいな幹部から補佐官からコースのプランナー

から通訳、土産物の運送班、この人達が数十人はいたと思うんだけど

その他もろもろ入れて大行列を組んで街道を歩いて行ったと思うの。

 

行く先々では各都市、まあこの頃はそれぞれが国と名乗ってた

でしょうけど、そこに最低1泊はしていったと思うのね。先生も仁川

(インチョン)か群山(クンサン)辺りから上陸したんじゃないかって

言ってるわ」

 

「あーそうか、大名行列みたいに魏の国の威厳みたいなものを

示しながら進む必要があったわけか、各国の人達にすれば

珍しいパレードが通るんだから喜んで見に行っただろうね」
ドクターは感心してうなずいた。

 

「そうなのよ、この使節はそういう意味では別に急ぐ必要も無いし

逆に魏の皇帝の使いとして安全第一で進んだと思うわ。

それで、この行列が狗邪韓國、つまり釜山か金海まで20日位かけて

歩いたんじゃないかな」

 

「20日?それは?」

 

「うん、ひな姉さん。実は時代はだいぶ下るんだけどね、ちょうど

ソウルから出発して釜山から対馬、壱岐を通って下関から瀬戸内海

経由で江戸まで行った外交使節団があったのよ」

 

「何ですって!そんなのがあったの?」

 

                                        つづく