翌日の5:00にはモーニングコールが入った。
二人が交代でシャワーを浴び終わるとドアがノックされた。
小林2佐は一瞬身構えたが、ゆっくりとドアに近づいていって
問いかけた。
「何ですか?」
「矢内次官の指示で参りました理容師です」
「矢内次官の指示で参りました理容師です」
小林2佐は神食満を見たが彼は首を振った。
そのまま、ゆっくりとドアが開かれた。
そのまま、ゆっくりとドアが開かれた。
「お早うございます、諸星さん?」
入ってきたのは白衣を着た理容師だった。
「はい」
「はい」
神食満が手を挙げた。
「では手早く済ませますね、こちらへ」
「では手早く済ませますね、こちらへ」
神食満は示されたイスに腰掛けた。理容師はものの10分程で
仕事を終えた。
「はい、お疲れさまでした。黒部さんも如何ですか?」
「いえ、私は結構です」
「はい、お疲れさまでした。黒部さんも如何ですか?」
「いえ、私は結構です」
小林2佐が柔らかく断ると理容師は会釈して部屋を出て行った。
「あー、本物だったみたいですね」
「ああ、本物の諜報員だな」
「えっ?」
「何を驚いてる?俺達の反応をテストしにきたんだよ」
「えっ、でも…」
「あのな、諜報員なら床屋の真似事ぐらい簡単に出来るんだよ。
「あー、本物だったみたいですね」
「ああ、本物の諜報員だな」
「えっ?」
「何を驚いてる?俺達の反応をテストしにきたんだよ」
「えっ、でも…」
「あのな、諜報員なら床屋の真似事ぐらい簡単に出来るんだよ。
昨日偽名の練習しといて良かったな、どうやらテストは合格らしい。
まあ、お前のむさ苦しい長髪もスッキリしたから気分良く出発出来るかな」
そう言うと小林は運ばれてきた朝食をパクつき出した。
神食満も頭を振りながらサンドウィッチに手を伸ばした。
時計が8:00を表示すると内線が鳴った。
「はい黒部です、分かりました1Fに下ります。諸星時間だ、
時計が8:00を表示すると内線が鳴った。
「はい黒部です、分かりました1Fに下ります。諸星時間だ、
身分証忘れるなよ」
「脱いだ服とかはどうするんですか?」
「脱いだ服とかはどうするんですか?」
「お前はどうしたいんだ?」
「分かりました、置いていきます」
「諸星、お前は辞令を受け取った瞬間から全く別の人間に
「諸星、お前は辞令を受け取った瞬間から全く別の人間に
なったんだ。昔の自分は全て忘れろ」
「分かりました、じゃあ行きましょうか黒部さん」
「分かりました、じゃあ行きましょうか黒部さん」
小林は無言でうなずいた。
新しいスーツを着込んだ二人は公用車で空港に向かった。
成田国際空港に到着したのは9:10だった、小林はケースの
中の指示書を確認した。
「フライトは10:00発のJAL便だ、行こうか」
「あっ、チケットは?」
「これだよ」
「フライトは10:00発のJAL便だ、行こうか」
「あっ、チケットは?」
「これだよ」
小林は内ポケットの身分証に手を当てVIP用のゲートに向かった。
「外務省の黒部です」
「外務省の黒部です」
そう言うと小林はぶっきらぼうに身分証と茶色のパスポートを
差し出した。神食満もそれに習って自分のパスポートを引っ張り出した。
差し出した。神食満もそれに習って自分のパスポートを引っ張り出した。
「ご利用ありがとうございます」
笑顔で書類を受け取ったGSは端末を操作してチケットを打ち出した。
「どうぞこちらへ、ご案内申し上げます」
そのまま二人はファーストクラスへ案内された。
「それでは快適な空の旅を」
「それでは快適な空の旅を」
一礼して去っていくCAを神食満が目を丸くして見つめていた。
「おい、余りジロジロ見るなよ」
「でもファーストクラスなんて初めてなんですよ」
「諸星領事官補、分かってるな」
「でもファーストクラスなんて初めてなんですよ」
「諸星領事官補、分かってるな」
小林はアイマスクを差し出した。
「上海まで寝てろ、2時間たったら起こしてやるよ」
そう言うと小林は腕組して目を閉じた。
神食満はシートベルトを確認してからアイマスクを着けた。
2時間後、飛行機は上海浦東国際空港(しゃんはいぷーとん
こくさいくうこう)に到着した。空港を出た二人は差し回しの
公用車で上海総領事館に直行した。
「やあご苦労様、お待ちしてました」
総領事の熊本が立ち上がって二人を迎えた。
「総領事の熊本です、どうぞよろしく」
「黒部です、お世話になります」
「諸星です、よろしくお願いします」
「こちらが領事の柴田君です」
「柴田です、よろしく」
「総領事の熊本です、どうぞよろしく」
「黒部です、お世話になります」
「諸星です、よろしくお願いします」
「こちらが領事の柴田君です」
「柴田です、よろしく」
4人は各々握手を交わした。
「副領事室を用意しましたのでゆっくりして下さい。柴田君」
「どうぞこちらへ」
「どうぞこちらへ」
柴田に案内されて二人は副領事室に入った。
「ここはゲストルームですがお二人に開放します、ご自由に
「ここはゲストルームですがお二人に開放します、ご自由に
お使い下さい。15:00から2Fホールで幹部館員と会食します
のでそれまでくつろいで下さい、何かありましたら内線の2番を、
私か総領事に繋がりますので」
「分かりました、ありがとうございます」
「分かりました、ありがとうございます」
柴田は会釈すると部屋を出て行った。
小林は上着を脱ぐと手帳を取り出し、裏表紙にペン尻で文字を
書き出した。
『盗聴されている、注意しろ』
『盗聴されている、注意しろ』
神食満は驚いて辺りを見渡した。
つづく