さて、今回の大震災で忘れてならないのは福島の
原子力発電所の大事故です。
 
 
現在も危険を顧みず消防、警察、自衛隊の人たちが
原子炉や使用済み燃料の入ったプールを冷却する
ために献身的な放水作業に取り組んでいます。
本当に頭の下がる勇気ある行動ですがこれは本来の
プロの仕事のありようとは違うものだ、と言わざるを
得ません。
 
分かりやすい例では消防のハイパーレスキュー隊は
隊員を犠牲にするような救助活動は行いません。
複数の怪我人がいる場合助かる可能性の高い順
(更に救出のリスクが低い順)に助けるのが基本と
いうことです。
 
(被災地の救命措置で採用されるトリアージ:助かる
可能性に合わせて怪我人を色別のカードで分けていく
やり方。と同じ思想ですね。何も不人情な合理主義では
なくベストを尽くして最大限の人々を救うプロの仕事です)
 
今、政府が各部隊に強いているのは犠牲を覚悟で
「原発を何とかしろ」
というおよそ常識を踏み外した大本営的な作戦(とも言えない
お粗末な内容)の押し付けとしか考えられません。
 
 
はっきり言ってこんなことで有為の人材を失う結果になれば
それこそ国家的損失です、こんな事態に至るまで後手後手の
間に合わせ対応(原子炉への海水注入はもっと早い時期に
決断するべきでしたし、住民の避難も最初から政府が受け
入れ先と移動手段を手配して30km以上の退避を完了して
いなければなりませんでした)に終始した不手際は批判を
免れないと思います。
 
今の態度はホームから転落した酔客を見た訳知り顔の老人
屈強な若者に対して
「線路に飛び降りて助けろ!」
と指図しているようなものです、ホームには今正に電車が
進入してこようとしているのにです。
これが強要でなくて何なのでしょうか?
 
 
今後の日本にはもう原発は必要ないと思います。これほどの
リスク
(地震と津波の二重被災に加えて放射能漏れ、或いは広域汚染
三重被災、周辺住民への風評被害を考えれば四重被災!)
をとってまで電力を必要とするか?と言えば今なら殆どの国民が
「NO!」
と答えるでしょう。
 
今後は太陽光発電等のクリーンで恒久的な低リスクのエネルギー
に徐々に転換していくべきだと思います(技術的な問題等は
それこそ世界中の英知を結集すれば必ず解決できると信じます)
 

今回いちばん拙かったのは政府与党(だけでなく政治家全て)
が危機管理の発想を持ち合わせていなかったことです。
国家的危機に対応する国としての体制が残念ながら我が国には
全く無いというのが現実なのですね。
 
 
16年前に6400名が命を落とした取り返しのつかない苦い経験
が全く引き継がれていないのです。
 
 
卑近な例で言うと膨大なガレキの撤去既に阪神・淡路大震災
の時に私有財産という考えを捨ててガレキをゴミと見なして全て
国費(税金)で処理するとして迅速に撤去されていたのですが、
何と今回また振り出しに戻ってガレキといえども私有財産なので
簡単には動かせないと、右往左往している始末です。
(3月23日付朝日新聞)
 
 
何と愚かな対応でしょう、もう怒る気持ちも消え失せて情けなさで
涙が出てきますね。ガレキを片付けずにどうやって街の復興を
やろうと言うのでしょうか?
 
国家的危機に対応する為にはその道のスペシャリストを結集する
ことです。先ず危機の全体像を科学的に把握、分析できるブレーン
(日本にも危機管理の専門家はいます、何故原発の事故が発生
した時点で彼らが糾合されなかったのでしょうか?何故彼らが
テレビで事故の解説をやっているのでしょうか?)
 
彼らのプランニングで現場に向かう実働部隊は自衛隊にも消防にも
警察にも特殊部隊があったのです、何故彼らが状況がどうしようも
無くなってから特攻させられなければならなかったのでしょうか?
 
こんな時政治家は何の役にも立ちません、邪魔なだけです。しかし、
最終的な決裁権を持っているのが政治なのですから信頼できる
専門家(ブレーン集団)に全てを託して最後の責任は自分が取る
というリーダーが必要なのですね、戦国武将なら徳川家康的な
リーダーと言えるでしょうか。
 
事ここに至った以上、最早特攻も止むを得ません。しかし、これで
原子炉の暴走を食い止められたとしたら政治の責任は厳しく追及
されるべきです。
今後いくらでも起こり得る危機に対して今のような状態ではとても
この日本という国は立ち行かなくなることでしょう。

特攻というのは最も邪道な戦い方でそこまで追い詰められたのなら
あっさり降伏するべきなのです。それをしなかったために何百万人の
日本人が死んでいったことでしょう。過去に学ばない者は必ず同じ
過ちを繰り返すのですね。
 

私は今こそ日本に危機管理の専門部署、かつてアメリカに作られた
FEMA(フィーマ:アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁、大統領直属の
広域災害に即座に対応できる独立した専門政府機関)のような独立
した専門省庁
(かつて公害問題に対応して環境庁・現環境省が作られたように)
広域災害に対応する「広域災害省」を組織することを真剣に検討
するべきだと思っています。
 
最早縦割りの警察、消防、自衛隊がバラバラに動いていたのでは
いつも最後は特攻隊に突撃させて犠牲を払って何とかことを収める
繰り返しになると思います。
 

国家的危機管理のエキスパート組織を育てていくこと。これが今後の
日本に課せられた緊急の課題なのではないでしょうか?戦後最悪の
大震災を前にしてその感を強くしている今日この頃です。
 
                                        (了)
 

追記2011/4/6
 
今回は東北を中心に拡大する風評被害、特に原発事故の
影響をもろに受けている福島県の状況についてお話したい
と思います。
 
既に毎日の報道でご存知かもしれませんが福島第一原発の
大事故で周辺20kmの住民のみなさんが自主避難?するよう
求められ(避難するように求めるなら移動手段と当面の生活費
:生活の拠点を捨てて一時?ではなく相当な期間別の土地で
暮らすわけですから先立つもの=現金は絶対的に必要なのですね。
 
は政府が用意して然るべきだと思うのです。
これは普通の?天災ではなく避難した人たちが自分の町に
いつ戻れるか全く見当もつかない特殊な災害なわけです)
 
受け入れ先も移動の手段も費用も全て自己負担という理不尽な
状態が未だに続いているのです。
 
これだけでも国家賠償の対象になるのではと思われるのですが
ここまでは直接的な被害なのですね。南相馬市では(いつまでも
救済策を実施しない政府に対して業を煮やした)市長の判断で
独自に市民の移動を実行したようですが、市民全ての落ち着き
先が決まっているわけではないようです。
 
つまり多くの庶民が大企業の不手際と政治の無策の犠牲に
なって路頭に迷っているわけです。そして更にその周辺
(原発から30km以上)の原発事故による避難等とは直接の
関係が無い農業、漁業、観光業等々の多くのみなさんが大事
に育てた野菜が出荷出来ない(受け取り拒否)水揚げした魚が
二束三文で買い叩かれる(10分の1の値段)或いは受け取り
拒否される、
 
また多くの宿泊予定(いわき市、福島市、二本松市、郡山市等
大手旅館も7月までの数千から1万数千という予約)が軒並み
キャンセルとなり廃業に追い込まれたところも出ているということです。
 
有名な観光地の会津若松や宮城県の仙台、さらには栃木県
の日光ですら宿泊のキャンセルが相次いでいるということです。
このような事態を政府はどうやって収拾するつもりなのでしょうか?
 
ここに至って民間の営業活動には介入しないなどという百年一日
の対応をするならば
「政治への信頼は未来永劫失われる」
という危機感をはたして彼らは持っているのでしょうか?
 
 
ここからはまた素人考えの願望を言わせて頂きます。
先ず、この直接、間接の被害は原発事故から発した玉突き衝突
なのですね。
 
今もってこの大元の原因が解決していないので今後どれ程の
被害が拡大するかも全く予想出来ないのですが、それによって
故郷を追われた多くの人々がいる。
一方、いわれの無い過剰反応で大量のキャンセルが発生して
経営の危機に陥った多くの旅館、ホテル等がある。
 
単純に考えればこれらの宿泊施設に(数ヶ月から1年以上の幅
を持たせて)避難を余儀なくされた人たち、また地震、津波等で
不自由な避難所生活を続けている人たちが受け入れられれば
多くの問題は(一時的にでも)解消するのではないでしょうか?
 
現在の避難所で生活されているみなさんが東北を中心とした
16都県で約26万人(3月23日付時事通信)とのことでこれは
東日本全域の風評被害を受けている宿泊施設を総動員しても
追いつかないでしょう(私はこれに加えて全国の遊休施設?:
かつての「かんぽの宿」や「国民休暇村」等々。を今こそ有効
利用するべきだと考えています)
 
更に各自治体では公営住宅に加えて既に統廃合等で使わなく
なった校舎や廃業したホテル(赤坂プリンスなど)を被災者
受け入れのために提供する活動を進めています。
これらの諸費用を税金で賄う(法律が無いなら「被災者支援法」
のような時限立法を早急に整備するべきです)ことにいったい
どれだけの人が反対するでしょうか?
 
さらに休業、廃業を余儀なくされている農家や漁師のみなさん
(風評被害にあって売れない野菜や魚は当然「安全な商品」
なのです)の収穫した貴重な食料をこれらの施設に供給する
(一旦政府が買い取って輸送コストを負担した上で現地へ届ける)
という流れを作ればかなりの有効な政策の実行になると思うの
ですが
(これにもあれこれと理屈をこねて反対する勢力は至って少数
なのではと思います)
はたして、こういう考えは机上の空論のパズルに過ぎないので
しょうか?
 
もうすぐ大震災の発生から1ヶ月になろうとしていますが、
「原発事故」
という国家的危機の解決が遅々として進まず、30万人近い
国民が明日の希望を失いかけている状態を(あたかも放置
しているかのように)改善出来ない政治の無力に
 
「庶民でもこれくらいの想像力は持っているのですよ」
と言ってやらずにはいられない心のわだかまりを、一気に
吐き出してしまいました。
 
相変わらず足の引っ張り合いしか見せてくれない
「先生?」
と呼ばれるみなさん、どうか少しでも私たちに未来への光明を
示して下さいませんか?
                                       (了)