日本機能性医学研究所の所長、医師の斎藤糧三です。
ブログご無沙汰していてスミマセン。

 

テーマは「インフルエンザ予防とビタミンD」についての後編です。

 

予防するためにすべき5つの事

1,菌への暴露回避

2,気道の保湿

3,カラダを冷やさない、首を冷やさない
4,インフルエンザ・ワクチン接種
5,ビタミンDサプリメントの摂取

後編はビタミンDについて、お話します。ちなみに、ドクター斎藤の大得意分野です。

まず結論から、
「ビタミンDのサプリメントを1日あたり下記目安に摂取しましょう」
 3〜9歳 1000IU

 10〜11歳 1000〜2000IU

 12〜17歳 2000〜3000IU 

 18歳〜  2000〜4000IU
理由は下記です。
キーワードは「抗菌ペプチド」です。「ディフェンシン」「カテリジン」は抗菌ペプチドとよばれ、ヒトが皮膚、気道、腸管などカラダを外から内から覆う上皮細胞や免疫系の細胞が持っている、いわゆる天然抗菌物質で、細菌やウイルスの感染から防御します。ビタミンDは抗菌ペプチド産生に重要な役割を果たしていることがわかっています。


なんと、その事に注目して「ビタミンD摂取はインフルエンザの予防になるのでは?」と世界に先駆けて研究したのが、慈恵医大の浦島先生です。Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren.
という論文で、6歳から15歳の子供334人を対象に、1200IUのビタミンDサプリメントを与えた群と偽薬群を比較。ビタミンDサプリメント投与群のインフルエンザA発症頻度は10.8%だったのに対して、プラセボ投与群では18.6%だった。よってビタミンDサプリメントの摂取によって季節性インフルエンザの発症を抑えた。また喘息の合併症も減少させた。という内容。

ビタミンDは、皮膚に紫外線があたることで出来る物質。我々の祖先が赤道直下のアフリカに住んでいたころは紫外線浴び放題でしたが、10億年前に大移動がはじました。北や南の季節変動がある地域に移住すると、冬場には太陽光の入射が傾斜して紫外線が散乱され皮膚でビタミンD合成ができなくなったのです。しかも、昨今は紫外線を嫌うムーブメントによって、ビタミンD合成が可能な夏場(5月〜9月)も紫外線を浴びません。結果として、現代人はアフリカサバンナで生活していたころにくらべ、とてもビタミンDが少ない状態で生活しているのです。

「そら、風邪引くわ」

ビタミンDが足りなければ、カルシウム代謝もおかしくなる(骨粗鬆症)、免疫調整もわるくなる(アレルギー、自己免疫疾患)、前述のように菌やウイルスに対する抵抗力も低くなる。現代人の40%がビタミンD欠乏症であると考えられています。
くわしくは、ドクター斎藤の本をご一読ください。サーファーに花粉症はいない ~現代病の一因は「ビタミンD」欠乏だった!~(小学館)


日本人の食事摂取基準(2015年版)ビタミンD (1μgが40IU(国際単位)に相当)

によって、食事から摂取べきビタミンDの摂取目安が示されていますが、
ビタミンDは本来皮膚で合成されるものなので、食事摂取で基準を示すのはやや難があると考えられています。浦島先生のスタディでも、被験者が6歳〜15歳だったので、3歳〜5歳の耐用上限量である30μg(1200IU)の最大量を投与したと考えられます。
お子様に投与されるのでしたら、該当年齢の耐用上限量を目安にされるとよいでしょう。(目安量では足りない可能性があります。)

 

冬の太陽は応援してくれません。ビタミンDサプリを味方に頑張ってください!!