有栖川レオンという少年に色々と聞くことができたのは、放課後になってからだった。
「レオン君は、どうしてこの学校に転入なんてしてきたの?気を悪くするとは思うんだけど、もし良かったら教えてくれないかな。」
真っ先にそう聞いたのは、理紗だった。よくもまあ自分から聞きに行ったものだ。
「えっと、皆さんお察しの通り、僕は『旧人類』の人間です。僕が転入できたのは、父がアメリカの政府関係者なので、そのコネで日本に来ることができたんです。ですが、日本で僕の転入を受け入れてくれる高校がここだけしかなかったんです。」
このクラスの中では、納得のいく理由だった。それよりも気になるのは、
「だがなぜ、わざわざ日本に来たのだ?」
鈴華の言うとおり、たとえ住まいを変えることができようと、このご時世でわざわざそんなことをする者はまずいない。
「治安の問題です。」
「?」
クラス中が首をかしげる。そんな彼らに、レオンは話を続けた。
「現在のアメリカには、旧人類と新人類を問わず、無差別に殺しを行う『人狩り』がいるのです。」
「っ!」
クラス中が、驚きの表情を見せるなか、
「それなら聞いたことがあるぞ。日本以外の国じゃあちこちにいるんだろう。」
どうやら佐山はその情報を知っているようだ。確か彼の両親は、警備関係の仕事なので知っていてもおかしくはない。そんな中、レオンはさらに話を続け、
「ですから、わざわざ日本に来たのです。旧人類であるといえど、死にたく無いですしね。」
と答えた。
また少し、クラスの空気が重くなった。何か考え事をしていたのか、未咲は急に何かを閃いたかのような顔をして、
「今度の夏祭りに、有栖川君の歓迎会も兼ねて、みんなで一緒に行かない?」
と、言い出した。それにつられて鈴華が、
「そうだな。その夏祭りは私の家の神社で行われるから、準備は任せてくれ。」
「そうなのか。初めて知ったのだ。」
「よーし、じゃあ決まりだな。」
「皆さん、ありがとうございます!」
未咲の突然の提案にも関わらず、レオンの歓迎会を行うことが決まった。その主役であるレオンは、今日一番の声で新しいクラスメイトにお礼を言った。
新しい仲間を迎え、これから先もずっとこのままでいられると、誰もが思っていた。
しかし、運命という残酷な歯車はそれを認めない。
なぜなら、この時点で既に少年少女たちの運命は確定してしまったのだから。
『破滅』という、決して逃れられない未来が…。
「よしっ。」
今日は夏祭り。僕なんかのために歓迎会を開いてくれるなんて、思ってもみなかった。
場所は教えてもらったからおそらく大丈夫だろう。そろそろ家を出るか。
「ええと確かこっちだったよな。で、次の角を左に曲がって…。」
シュンッ
「え?」
今、目の前を何かが通った。しかも、今のが行った方角は、
「神社のほうだ。」
でも、もう周りが暗いから見間違えただけかも。だけど、何か嫌な予感がする。
けどまあ、きっと気のせいだ。
「とりあえず、早く行かなきゃ。」
第三弾です。
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