「おはよーございまーす!!」
大声で教室に突入してきた人物に一瞬、クラス中の冷たい視線が刺さる。ギロリと睨まれた大声の発射元である少年は、顔に冷や汗を垂らしながら後ずさった。しかし態勢を整え、もう一度挨拶をしようと試みる。
「すうっ…。おっはよ…」
「はいはい、おはよう幹也君。今日も無駄に元気だね。」
幹也による二度目の攻撃を阻止するため、クラスメイトの一人が瞬殺で挨拶を返す。幹也は、適当に挨拶を返されたことが気に入らなかったのか、自分に挨拶を返したクラスメイトにズンズンと歩み寄り、
「その挨拶の返し方はどうかと思うぜ未咲。挨拶の返し方、小学校で習わなかったのか?」
と、未咲が挑発に乗りそうな発言を投げかける。そんな幹也に対し、当の本人は、
「じゃあ、大声で挨拶するのをやめなさい。あと、別にそんなのどうでもいい。ていうか、全然挑発になってないんですけど。」
「うっ……。」
反撃されて手も足も出ない。そんな幹也は、
(相変わらず口がお達者で。)
なんて思ったが、そんなことを言ってしまえば未咲になにをされるか分からないので、寸でのところで抑え込んだ。
「おい、幹也。いい加減、未咲に対抗するのをやめたらどうだ?いくらやっても勝てないことは、もうわかってんだろ?」
幹也に声をかけたのは、高校生にしては随分とがっちりとした体つきの、別のクラスメイトだった。しかし幹也は諦めることが嫌なようで、顔中にしわを寄せながら、
「うぅ…。だけどこのままじゃ男子として示しがつかねぇ。」
と、呟いた。今回に限っては、幹也と一番仲の良い佐山の話も聞く気はないようだ。そんな幹也に対して、クラス中から一斉に非難の声が飛ぶ。
「幹也君、諦めが悪すぎます。」
「三好幹也、声が大きい。少しは黙っていろ。」
「三好殿はおしとやかになるための訓練をすべきだと思うぞ。」
「好き勝手に言われてるな。あ、佐山和馬は右に同じく。」
「え…このクラスには、俺に味方してくれる人いないの…。」
こうして、クラスメイトからの総攻撃をくらう羽目になった幹也は、がっくりとうなだれたまま自分の席に着いた。
「でもまぁ、幹也君からそれとったら、ある程度静かになりますよ?」
「杉本、それフォローになってないぞ。」
「え?あ、ご、ごめんなさい!」
「もういい…。もう皆嫌いだぁっ!」
杉本のフォローになっていないフォローによって、あえなく撃沈する幹也。こう見えて、メンタル面がものすごく弱いのだ。そんな幹也に未咲が声をかける。
「それで?今日はどんなニュースなの。」
「おっ、さすが幼馴染。よく分かったな、未咲にしては上出来なんじゃないか。」
「みんな!このバカに再度、制裁を…」
「あぁ!ゴメンナサイゴメンナサイもう二度と調子に乗らないので許してくださいゴメンナサイ。」
こんな調子の幹也だが、実はこのクラスの人間しか知らない、情報収集という特技がある。その特技を、この『特別クラス』のために使うことが時折あり、何らかのニュースがあるとき、幹也は少々煩くなる。
「で、どうだったんだ?」
クラス中の注目が一点集まる中、幹也はこう言った。
「皆の者、よく聞くがいい…。転入生が来るぞ!」
『……はぁ?』
全員同時に気の抜けた声がでた。
「いや、マジだって。本当だよ、信じてよ!」
「三好殿は、先ほどのが少しばかりかトラウマになっているようだな。」
クラスメイト全員に呆れ顔をされ、幹也は慌てふためく。
しかし、全員が驚くのは仕方ない。そもそも、このクラスに転入生が来ることはまず無いことなのだ。
「なんで転入生なんかが来るんだ?俺らみたいな奴…《ただの人間》は生まれた地域からは出られないはずだが…。」
佐山の言葉で全員が静かになった。
それもそのはず。今この世界で、正式な人間として分類されるのは『特殊能力者』だけなのだ。
一昔前、ある科学者が人類に進化を求めて研究を行った。結果、人間に特殊能力を持たせることに成功したのだ。その研究結果は、瞬く間に世界中に広まった。こうして人類は、特殊能力と言われるものを手に入れることになったのだ。『超能力者』ではなく、『特殊能力者』と呼ばれているのは、能力が少しばかり使い勝手が悪いものが含まれているからだ。
これは後に発見されたのだが、能力者同士の間で子供ができると、その子供も特殊能力を持つことができる。しかし、稀にその現象が起きないことがあるのだ。
そして、能力を持たない人間は、『旧人類』として分類され、いろいろと不便を強いられているのが、今のこの世界の現状だっだ。
「あぁ、すまん。気を悪くさせたみたいだな。」
「ううん、佐山君は、謝るようなことはしてないよ。」
「はーい、おはよございます。皆さん席についてー。今日は転入生を紹介します。」
いつの間にか、担任教師が教室に入ってきていた。この教師も『旧人類』なので、このクラスを見下すことはない。
「先生。転入生ってどんな人ですか?」
今一番知りたいことを、未咲が代表して聞いた。
「それは、自分たちで確かめるのね。じゃあ、入ってきて。」
「はじめまして。有栖川レオンといいます。宜しくお願いします。」
入ってきたのは、いかにも好青年といった感じの人物だった。彼には色々と聞きたいことがあったのだが、授業始まりのチャイムがなってしまい聞くことはできなかった。
遅くなりました!第二弾です!
前回の方はどうだったでしょう?今回は前回より長めなので読むのが大変だったのではないかと、僕はものすごく心配です。
なるべく早く、第三弾を載せられるようがんばります!
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でわw