しばらく時間が空きましたが、論文紹介のねた探しその2です。
油断していたら発表まであと一週間とちょっとになってしまった(´・ω・`;)
Influence of cell geometry on division-plane positioning.
Minc N, Burgess D, Chang F.
Cell. 2011 Feb 4;144(3):414-26.
細胞の形が分裂方向に影響を与えているのではないか、という考え自体は古くから存在し、実際に1884年には、Hertwigが"long axis rule"(細胞は長軸方向に分裂する)を提唱していました。
しかし、本当に細胞の形が分裂方向に影響を与えるのかを”示す”実験は行われてきませんでした。
というのも、(分子に影響を与えずに)細胞の形だけを変えることがいままで難しかったためです。
今回紹介する論文では、最近発達した技術を用いてウニの受精卵の形をさまざまに変えた時に、分裂方向がどのような影響を受けるかを調べ、さらには非常に簡単な(?)数理モデルで分裂方向を高精度で予測できることを報告しています。
実際の写真は、筆者らのHP
でご覧ください。
で、簡単に内容をまとめると、
1. 実際に細胞の形は分裂方向に影響を与えている。
2. その方向は、間期(もしくは分裂期の前期)に核が伸びている方向と一致する。
3. 核を伸ばす力の原動力は、主に微小管である。
4. 実験で調べたそれぞれの細胞の形について、核の両端と細胞膜をつないでいる微小管の力とトルクから、核がどの向きを向いているときが(局所的に)安定か、さらにはポテンシャル(トルクを積分したもの)を元に核の向きの確率分布を計算したところ、実験結果をよく再現できた。
※数理モデルの重要な仮定は、微小管が核を引っ張る力が微小管の長さに正の相関を持つということ。
具体的にはf(L)~L^βとして、力が長さのべき乗に比例すると仮定しています。
といったところでしょうか。
こんな簡単なモデルでここまできれいに実験結果が再現できるのか!と驚いたというのが一番の感想です。
微小管の力が長さのべき乗に比例するという点が、分子的にどのように説明されうるのかを(Discussionだけでなく、)調べてほしかった気もしますが、まあそれは次の仕事でということなんでしょうか。
もちろん生物学的には、それでええんか?と思う仮定もかなりあるわけですし、そもそも2次元ですし、とか色々問題は山積みではありますが、生物学にそれらしい数理モデルを持ち込んだという点で、ともかく大きな一歩ということでCellなんでしょう。
同じ号にもう一本似たテーマの理論の論文が載っているので、2本合わせて紹介すると分量的にはちょうど良い気がします。
もう一本も読んでみてから最終決定したいと思います。

