そこには
ある
フォーク一本からでも
思い出せることはある
それで刺して食べた
イチゴの味
しろくかかったお砂糖
へたをとったあと口に残る
青い味
5月の家庭訪問
みどりと
夏の端境期
なにもかもが
なかったわけでもない
ホットプレートで焼いた
パサついた卵焼き
おとうさんの作るお弁当
その人の中で果たそうとした責任
精一杯のもの
バラバラの心の中で
目をそらす日々の中で
それでも、その人なりの精一杯
夏の坂道
夜を下る自転車
むせる緑の立ちこめる匂い
何もかもがなかったわけじゃあない
わたしたちはあのとき
確かに
あの時間
そこにいた

