少し時間がたってしまいまいたが、先月半ばに行われたIFRSコンソーシアムのレポートをします。
第1部:基調講演1 島崎 憲明 氏 社団法人日本経済団体連合会
企業会計部会長 IFRSの国際的アドプションの動向と日本での対応
・FASBとIASBはコンバージェンスの再確認 IFRS9号に関しては米国と欧州で対応が異なる。
・豪州、アジア各国におけるIFRS導入に対する対応の現状を踏まえ、日本は特に成長著しい新興国に対して イニシアティブを取っていくべき ・わが国においてはASBJ,JICPA、経団連等によりIFRS対応会議が開かれ、配当金や金融機関の金銭債権債務の減損 収益の認識基準に関して積極的に意見交換がなされている。
・既にIFRSを導入している独、仏、英などにおいても個別FSは各国独自規程によっているが、コンバージェンスが 進んでいる。
第2部:基調講演2 手塚 正彦 氏 有限責任監査法人トーマツ、パートナー、公認会計士
IFRSの導入にあたり経営者が考えておくべきこと
・わが国においては注記事項も含め、2013年までにIFRSインフラの整備が必要とされる。
・企業は収益認識、繰延税金資産、子会社の決算期・会計方針の統一等のムービングターゲットを追いかける必要があり 変化に伴いシステムの変更が必要となる。
・企業はIFRSを単に連結FS作成の基準とするのではなく、現行の財務報告体制の見直・業務の効率化・システムの統一 を見据えて対応していこうとしている。
・IFRSでは公正価値評価基準の資産・負債アプローチによるB/Sによって包括利益が表示される。 またマネージメント・アプローチによる充実した注記情報が開示され、投資家の資金の管理・運用状況が明らかにされる。
・利益概念が当期純利益から包括利益に変更されるが、欧州の投資家が従来の利益で判断しているように 機関投資家が包括利益を見るかは不明である。 ・退職給付債務の差異の一括負債計上等、会計基準の相違の解消が要求される、IFRSの初度適用のインパクトは非常に大きい。
・マネジメント・アプローチの導入に伴い、従来の管理のための体制から、事業・財務・継続・非継続等を軸にした報告体制へ変更。 ・公正価値評価範囲が拡大し、評価コストが増大する。
・IFRSにおいては収益の認識は「物品の販売」「役務の提供」「企業資産の第三者による利用」の三形態別に要件が定められており 出荷基準が収益認識基準として認められるかが問題となる。
・減価償却について具体的な会計基準のない我が国においては残存価額・耐用年数・減価償却方法について毎期見直す体制が 要求され、税法基準がIFRSに照らして妥当かどうかの検討が必要とされる。
・IFRSが要求するコンポーネントアカウンティングは自社における固定資産管理の方法に影響してくる。 第3部:
基調講演3 藤田 和弘 氏 アビームコンサルティング株式会社
「経営管理にIFRSを活かす」
・IFRSにおいては開発費の資産計上が認められており、初度適用において利益を押し上げる数少ない要因となるが 資産計上のために要求される要件のほとんどは「売れるか否か」ということである。
・欧州においては業界により開発費の資産計上に温度差がある。
・ポイントが付与される売上について将来使用が見込まれる部分の公正価値は売上から控除し負債計上するが 正確な公正価値の算定は困難である
・IFRSにおいて値引き・リベートが売上から控除されることで、予算の精度が向上し業績評価の意識改革が必要となる。
・IFRSによってグローバルベースでの比較可能性の確保・決算集計等の効率化・国際的信用の向上が期待される。
・IFRSによって把握された日次のグローバルベースでの限界利益によって生産拠点の統廃合が進み マーケットの変化に即時に対応した経営が期待される。
第4部:基調講演4 大野 純一 氏 アクセンチュア株式会社
「IFRSとITシステムについて考える」
・グループ企業の独自性をし、各社の会計業務は統一せず、連結時にIFRS対応を行う場合、各社から本社における IFRS組替に負荷問題が生じる。
・また、IFRS導入に伴い、連結対象会社の増加、注記の増加などが負担となる。
・マーケットからの情報開示要件が社内の経営管理高度化を推進する。 また、詳細な事業セグメントの開示によって自社の状態をアピールしていくことが重要になる。
総括
企業においては、組織体制をマネージメントアプローチに対応し、即時にデータ収集できるものとする必要がある。 そのためにはデータセンターとシェアードサービスセンターを活用することが有用と考えられる。 また、IFRS以降に伴い利益概念が包括利益に変わり、開示する情報が増えるが、投資家が包括利益を重視するとは限らない。 むしろ、形だけIFRSに対応するのではなく、グローバルに統一した体制を整備しマネージメントアプローチによる情報を 経営管理に役立てないと、経営効率・経営戦略の面で不利となる。