~ 黄昏 06‘ ~
休日の西日のきつい晩方に娘をおぶって、犬を引き連れ外に出る。
脚の悪い母が石のようだと形容する娘の重みでおんぶ帯がタンクトップに深くくいこむ。
犬は幾分気を使ってか、散歩の逸る気持ちを抑え、歩調を僕にそろえてくれた。
背中にいる時の娘はいつも頗る機嫌がよい。
深く黒いその瞳で生まれてからまだ日の浅い彼女は何を見て何を思っているのか、
ふと気になる。
着古したタンクトップと短パンにビーチサンダル。
背中に赤ん坊、足元には犬コロ。
近所の老夫婦が僕のそんな格好を面白がってしわくちゃな笑顔で声をかけてきた。
あぁ、こうやって知らず知らず年をとっていくんだなぁ、と尻を掻きながら思った。
日が傾くにつれて、ヒゲが徐々に伸びはじめる。
僕には芥川龍之介のような透明な歯車なんか見えはしないが、
だが、確実に生活の歯車はグルグル回っている。
歯車と歯車の間に時間が滑り込み、一周一周、緩やかにぎこちなく時は流れ過ぎ去っていく。
明日の晩飯に思いを馳せて、鼾を掻こうと思ひます。
酒を飲まずに1日を終える月曜日。