歯医者で飯を三杯食う。
25歳を過ぎたあたりからちょっとばかり早すぎるとは思うのだが、体中のあちこちにガタがきはじめている。
元来”質実剛健”の気風を尊ぶ(嘘だけど)心を常に持ち、それゆえ肉体は健康そのものだっただけに、ちょっとしたショックでもある。
けれど、反対に自分がオヤジのプロトタイプと化していく(所謂、何かにつけた病気自慢!)ことが可笑しくもある。
病気ネタでまず一杯。
そんなわけで、病み上がりの木曜日、中学生の時以来となる歯医者へと行ってきた。
体調の異常を錯覚だと思い込む節のある僕も、歯磨きの度に決まって見る、己の汚らしい血液にはさすがにもううんざりしていた。
一人待合室で、この時ばかりにと週刊誌を手に取ると、以前制作会社勤務時代に何度か一緒に仕事をしたことのある殿方が、なんと目線入りで女子アナとフライデイされているではないかっ!
歌手になると言った知人の歌を場末のブックオフの有線放送で聞いた時以来の軽い衝撃が走った。
と、ここで2杯目。
歯医者での身の振りようが分からなくて、あからさまに動揺している僕を担当してくれたのは、僕と同年代の花王の石鹸の匂いのする女医さんだった。
彼女の前で僕は阿呆のように口を開けたまま、正しい歯の磨き方を教わった。会社帰りに。
歯科医院ではこれが普通のことなのかもしれないが、彼女が幼児に接するかのような言葉遣いでもって、手取り足取り歯の磨き方を教えてくれるので、途中で冷静になった僕は、
「これは何のプレイなんだろう?」と思い、危うく噴出してしまいそうになった。
結局、噴出しはしなかったものの、終始表情筋が緩んでしまい、マイナスの印象を与えてしまったことは否めない(別にいいけど。)。
世は久しく癒しのブーム。
足つぼマッサージに整体・アカスリ、エステと様々なことがリラクゼーションに用いられているのだから、人に歯磨きをしてもらうというサービスがあってもいいのではないかと半分本気で考えた。
(それから耳掃除もついでに思ったけど)。
そう、これが三杯目。
帰り際に女医さんが一言。
「ご飯は30分は控えて下さいね♪」と。
8時をとうに過ぎているというのに。
嗚呼、なんというオチ・・・。
みなさま おやすみなさい・・・。