昨日、学校に着いたら、途端に『リアル』の高橋の気分になった。すぐになんとも思わなくなったが。

今までも何度か陥ったことがあったので、3巻を読みながら「わかるわかる」と思ったことを覚えている。ちなみに、2巻のときには清春に感情移入をしていたが、普段は専ら野宮、ときにはミッチー。そして屋上のあずみ萌え。


1年のとき、入学してから2日経った日。履修を決めるべく、ベンチに座って一人、要項を読んでいた。女の人が自信なさ気に「1回生……?」と訊いてきた。サークルの勧誘かな? とも思ったが、それにしては自信がなさ過ぎる。その前に、僕も彼女が1回生だと思っていたのだ。


その少し前、履修相談の教室で彼女を見かけた。特に奇抜なファッションをしているわけでもないし、とんでもない美人というわけでもない、スーちゃんがなりたかった、ふつうの女の子だった。小柄で「まるい」という印象の。

「1回やけど……、自分は?」

「1回……みたいなもん」

? 僕が言葉の意味を上手く汲み取れないでいると、彼女が言った。

「2回やねんけど、ほとんど単位取れてないから」

なるほど。「座ったら?」


彼女も履修相談の教室で見かけた僕のことを覚えており、確実に1回だと言うことで声を掛けたらしい。それから僕の仮の時間割を見、「あ、いっしょ☆」 「あ、これも一緒☆」と、嬉しそうに声を上げていた。


後にも先にも、どうして彼女が去年一年間全く学校に来なかったのかは聞かなかった。その後、公立高校が甲子園でノーアウト一塁のランナーを確実に送りバントで進めるように、お約束のサークルの話になった。

「やる気ない系サークルに入らへん?」と彼女が言った。僕はそんなものに用はなかったので、断った。とにかく、友達がいないことを恐れているようだった。


その後はあまりよく覚えていないが、キャンパスを歩き、彼女が希望するようなサークルを見つけては「あそこは?」と訊いていた(と思う)。彼女はその度に「あ、でも少し知ってる人いるから……」と二の足を踏んだ。

そのときもほんの少しは彼女の気持ちがわかる気がしていたが、後に僕は、もっと彼女の気持ちがわからなくもない、となる(日本語むずかすぃー)。


その後はもう覚えていない。多分、適当にはなして適当に別れたと思う。



約1ヵ月後だったか、僕がクラブの連中とマネージャーを勧誘していたとき、食堂で出会ったら、2人の女の子と一緒にいた。未だ少しは不安もある風だったが、少しは気が楽になったのではないか、と思った。







それっきり彼女とは会っていないし、今会うとさすがに僕でも気づかないと思う。シューカツ仕様になっているだろうから、友達でなければ、カトゥーンのメンバーや『スペイン語会話』(まだ観てないけどw)の女の子を区別するくらいに難しいことだ。







一年後、まさに自分がそうなっていようとは、そのときは思いもしなかった。そして二年後、三年後も……。




俺達の代でバスケットをしていて武石中の三井寿を知らない奴はいなかったよ……

それが こんなになるなんて……



あのときは想像もしなかったよ……

自分がこんなになるなんて……


(1回目)



――あんときは、あんときは思いもしなかった

     その7番は俺ので

      お前らは俺の仲間で


   俺もそこで走っているはずだったんだ――



――誰よりも速く



(2回目)