日本に行く前に髪を切ってもらおうかと思っていたが、慌ただしくて結局行ける時間が見つからなかった。
白髪染めをやめてかなりの日にちが経ち、グレイヘアにずいぶん近づいている。日本語のグレイヘアのがサイトを見ていたら、グレイヘアを応援している美容師さんの紹介があった。
その中で、ある若い美容師さんのメッセージが際立っていた。
「他人の評価ではなく、自分が好きだからこのスタイルでいる、ということを大切にしたい。作り込む格好良さもあるけど、グレイヘアのまま、作り込まない格好良さもある」
彼女のインスタグラムでは、彼女が手がけたヘアスタイルの写真が載せられていた。表参道のサロンで、海外からのお客さんも多い(4割くらいらしい)。
それらの写真を見て、普通のヘアサロンの写真とは違うように感じた。特にビフォー&アフターをみると、新しいヘアスタイルが、その人たちの個性とピッタリ合っているというか、個性が外見に引き出されているような気がした。
「ウケがいい」とか「キレイに見える」とかではなく、「これが私なの!」という、まさしく「自分が好きだから」という感じで、今さらだけど、ヘアスタイルが自己表現の手段になるんだということに気付かされた。
日本に着いてから、時差ボケで体調が今ひとつ、色々ストレスが溜まってきたので、少し楽しい時間を持とうと、この美容師さんに予約を入れた。
原宿なんて、何十年ぶり?というくらいで、昔の私だったら、原宿のヘアサロンなんて気後れしたと思うが、度胸がついたというか、なんというか。
実際にお会いした美容師さんは、二十代半ば過ぎの、とても魅力的な女性で、「格好いい」が彼女自身、彼女の仕事、テイスト、スタイル、好みのキーワードにあるような気がした。
私がアイルランドから一時帰国中で、と話すと、いきなり「私、もうすぐここを辞めて、海外に行く予定なんですけど…」と話が始まり、驚いた。
最初はイギリスに行って、美容師の仕事を見つけて、と準備していたが、まぁ、イギリスは難しいことが分かり、ドイツにターゲットを変えたとか(ビザを取るのが一番簡単らしい。そうなの?)
色々聞いて行くと、正直、ちょっと無謀かなという気もしたけど、これは彼女がこれから調べてわかっていくことで、私が水を差すようなことを言わなくても、と思ったし、私自身、アイルランドに留学したときも、若さと意気込みだけで、無謀だったなと思う。
それよりも、彼女の美容師と言う仕事への情熱に感動し、無責任に応援したくなった。アイルランドもちょっとお勧めしてみたが、どうも地方都市のイメージがあるらしく…まぁ、原宿で働いている人から見たらね…
彼女は旅行が好きで、色んな国を訪れているが、友達の中には全く海外への興味もなく、色んなことへの関心も少ないと言う人がいるらしく「話しててもつまんないんですよ」と言っていた。
実は次の日、大学で教えている友人も「最近の子は、海外に行きたいっていう子が少ない。下手すると就職先も自分の家の近辺で探そうとする」と言っていた。自分の身の回りを越えたところで起きていることに関心がないらしい。彼女の高校生の娘さんも、海外旅行には興味ないらしい。
違う友人にも聞いたけど、「あぁ、そうかも」と言っていた。コロナ禍の影響なのだろうか?
関心が内側に向かっている若い人たちが増えている中、この美容師さんの存在は貴重なのかもしれない。海外で数年働いたあとは日本に戻って、貢献したいと言っていた。それは私ができなかったこと。彼女自身のように、日本の女性たちが、自分らしく生きていける社会を作っていって欲しい。
美容院でこんなに話したのは、初めてだったかもしれない。喋りすぎて声が枯れてきたぐらい。
肝心の髪の方は、私がこの髪型に飽きたということと、くせっ毛があって、と言うと、「このくせっ毛、羨ましい人もいるんですよ。私なんかストレートでペタッとしてるから、こういう癖がある髪、好きなんですよ」言ってくれ、くせっ毛を活かしたヘアスタイルにしてくれた。長さも、かなり短くなった。
正直にいうと、長いときよりも手がかかる。美容院で切ってもらったときのスタイルを再現しようと思っても、私の技量では難しい…くせっ毛を活かしているのと、寝癖を直していないは紙一重なのだ。
原宿で見た「ハリネズミカフェ」🦔。かなり複雑な気分になった。ハリネズミには過酷な環境なのでは…
