ちょっと前、ソーシャルクラブの役員のミーティングに出席するため、他のメンバーの車に乗せてもらったとき、チェコ人の役員も同乗することになった。車に乗り込んできた彼女が、今、彼女の娘と彼女が読んでいる本の話をし始めたのだが、どうも日本の本らしい。「ダザイが」「クニキダが」とかいうが、最初はなんの話をしているのかよくわからなかった。そこで「ダザイもクニキダも、日本では有名な作家の名前なんだけど…」というと、「そうそう!!」やっとBungoが文豪だと分かったが、それが漫画だ分かったのは、家に帰ってからであった。
チェコ人の友人と娘さんが読んでいるのは、漫画を小説にしてさらに英訳したものらしいが、オリジナルは日本語の漫画、文豪ストレイドッグズで、登場人物に日本の文豪たちの名前を使っている。
図書館から英訳された漫画を借りてきた。
メインは中島敦(そう、山月記)太宰治、国木田独歩で他にも与謝野晶子やら、江戸川乱歩、谷崎潤一郎などなど。かれらの代表作がかれらの特技になっている。。。なんか、荒唐無稽なんだけど、文豪の名前が次々出てくるのがなんか痛快な気分になった。
昨年、日本に帰ってきたときに、実家にあった日本現代文学全集をいくつか持って帰ってきた。
父が若い頃、買ったものだと思うが、子供のころは毎日、この現代文学全集の背表紙をみながらご飯を食べていた。わたしにとって、この文学全集は長いことインテリアの一部だったので、じつは読む本なのだと気がついたのは、太宰治の人間失格を読んだときだった。
日本文学にはまったく関心を持たずにきたのだが、去年、里帰りしたときにこのまま誰も読まれないのもなんだか気の毒のような気がして、いくつか持って帰ってきた。谷崎潤一郎の細雪が収められたもの、三島由紀夫は仮面の告白、金閣寺、そのほか短編や戯曲が収められたもの。太宰治ももってきた。谷崎潤一郎の細雪を読み始めたのだが、これが面白いし、懐かしい。
細雪の舞台は関西だし時代は戦前だから、わたしが育った時代も場所も違うのだけれども 心象風景が見覚えあるような気がして、「あぁ、わたし、やっぱり日本人なんだなぁ」と痛感した。こういう文化や空気を吸って育ったんだなぁと。そして文章の美しさ、細やかな表現を読むのがなんとも愉しかった。三島由紀夫も今回、初めてじっくり読んだが、やはり日本語の美しさ、丁寧な文章にうっとりしながら読んだ。
これ、発売されたのが三島事件の7年前で、まだ生存中。読みながら、何があのような行動に駆り立てたのか、探りながら読んでいた。

