大塚敬節先生や矢数道明先生、張錫純先生など、が臨床経験を語る文章は痛快で面白い。人柄も出ていて楽しい。私は師匠の語る話は面白くて、とてもためになった。臨床上にも影響されることが多々あった。臨床経験本を読むことはそんな語りを伺うバーチャルな経験ができるのだ。

 一般的に現代医学において例えば1例報告は、高いEvidence Levelとはなり得ない。ましてや物語形式に書き綴られた臨床経験など取るに足らない。

 私にはどうも思い込みがあった。教科書の章立て、つまり大項目、中項目、小項目、あるいは総論、各論の並びにある本の方が先の臨床経験本より高貴な感じがしていた。何故ならそれは所謂線を引いたりノートをしたりしやすい。そのノートがその本の流れに沿ってキレイだからだ。

 しかし、その「綺麗なノート」の構造は教える側が押しつけているだけである(TAKE NOTES! ズンク・アーレンス著 日経BP p210_211)。従って記憶とそれを元にした医療現場での実践することを目的としたら、この一連の流れは結局遠回りしていることになる。構造は自分で作るべきなのだ。それがZettelKastenで学んだことだった。

 但しここで気をつけねばならないことがある。それには、学校などでこの方法を適応するには一定以上のスピードが必要である。だから恐らく慣れが必要だ。私はどうも遅い。そしてさらに学校ならシラバスがあるので、自由に本を選択できない。勝手に気の向くまま別の書籍を学べない。つまらないと思ってもその本を読み進めなくてはならない。

 一方私はテストもなければシラバスもないので、お気軽に自分のペースで好きなことを学べる。実に良い。

  ところでそのような教科書形式の本はメリットはないのか?そんなことはない。調べるとき情報に到着しやすいので良い。