気が付いてみれば今年もあと10日余り。

今年は昨年の流れを引き継ぎ世界的にはテロが相次いだ。

 

2015年11月13日、パリ中心部の劇場やスタジアムなどで130人が死亡した同時テロの首謀者の兄弟が経営していた飲食店はベルギー・ブリュッセルの中近東や北アフリカ系の住民の多いモレンベーク地区に建つ。(2016年1月9日、杉山正隆撮影)

 

 

3月にはベルギー・ブリュッセル。空港と地下鉄駅で同時テロ。

32人が死亡し、340人が負傷した。

2015年11月のパリでの同時テロの関係者が引き起こしたとみられている。

 

パリ中心部の劇場やスタジアムなどで130人が死亡した同時テロの首謀者の兄弟が経営していた飲食店はベルギー・ブリュッセル中心部から徒歩20分ほどのモレンベーク地区にあった。中近東や北アフリカ系の住民が大半で貧困に苦しむ人々が多く暮らしている。

そんな環境の中に、ISIS(イスラム国)の考えに共鳴する若者たちがおり、

一連のテロを実行したのだという。

 

テロは、フランス周辺だけでなく、世界各地で頻発した。

 

6月12日には米国フロリダ州オーランドのナイトクラブで。49人が死亡した。

「ラマダン」(イスラム教の断食月)の最終版の7月7日には、

バングラデッシュ・ダッカの飲食店で日本人7人を含む20人が死亡した。

3月12日、アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP12)で訪れたバングラデシュ・ダッカ。慢性的な渋滞と、どこでも蚊の大群に囲まれたが、優しい国民性で日本人観光客にも隠れた人気スポットの1つ。テロ事件がたびたび起こる「危険な国」の1つでもある。(2016年3月12日、杉山正隆撮影)

 

7月14日にはフランス南部のニースで花火見物をしていた群衆にトラックが

突っ込み86人が死亡。

 

12月19日にはドイツ・ベルリンの「クリスマス市」に大型トラックが突っ込み、

少なくとも12人が死亡、48人が負傷した。

同じ19日にはトルコの首都アンカラで駐トルコ露大使が

機動隊に属する男性に射殺。男は「神は偉大なり」とアラビア語で叫び、

トルコ語で「アレッポを忘れるな」「シリアを忘れるな」とも何度も言ったのだという。

 

日本での報道はあまりされず、興味を持たない日本人が多いが、

シリア北部の主要都市アレッポはアサド政権側が全域をほぼ制圧した。

ISISやアルカイダ系の掃討目的で、ロシア軍が空爆を実施した末のことだ。

 

世界はテロの種がどこにでも落ちている。いつ芽吹いてくるか、

予測できない。

それは日本でも無縁ではない。

日米同盟強化はイスラムにとっては「日本も敵対勢力」と映る可能性が高いからだ。

 

かと言って、日米同盟からは逃れられない日本。

本来は従来通り「中立」で「全方位外交」に立ち返るのが理想なのだが。