2019年8月22日。
さて、今日までまだ長女をミュールジカに出会わせてあげられていない。
これはもう、ハイキング以外にはないと考え、
前日の晩、Signal Mountain lodgeで
地球の歩き方「アメリカの国立公園」編を調べる。
いくつかトレイルが紹介されていたが、
ハーミテージポイント(Hermitage Point)は、
「ムースやミュールジカなど動物に出会う確率の高いトレイルだ。」と
。
往復約14km(所要4−5時間)とあるが、ショートカットもできるらしい。
ココに行くことに決めた。
その日の朝食は、昨日のランチで頼みすぎて持ち帰ったピザ。
コルターベイまでの20分の移動中に車内で食べる。
コルターベイ・ビジターセンター駐車場の南端に車を止めると、
ハーミテージポイントの出発点(trailhead)の看板がある。
そこには下記の地図が置いてある。
1枚とって、たたんでポケットに入れる。
朝9時すぎ。
嫁と娘たちと自分の4人のパーティーは、トレイルを歩き出す。
まず、右手にジャクソンレイクのコルターベイの入り江を見ながら、歩く。
トレイルから湖のほとりには、簡単におりることができる。
平たい石を見つけて、サイドスローで湖に向かって投げると、
ポン、ポン、ポンと、波紋を3つつくりながら、石が湖面を跳ねてゆく
。

しばらく林の中をいくとジャンクションにぶつかる。
右手は上り坂、左手は平坦。
前を行くパーティーが右手を登っていったので、自分たちもついていく。
トレイルにはホカホカの大きな糞が結構見つかる
。
大きな蹄の足跡も。
ムースに違いない
と心を踊らせたが、
後から乗馬の一行が通っていくのを見かけたので、
きっと、馬のものだったろう。
糞の写真までとったのに。。。
あたりはロッジポール・マツなどの針葉樹の森で、
林床には背の低い草しか生えておらず、見通しがよい。
林床を中低木が埋め尽くす、日本の針葉樹の森とは異なる。
ふとマツの樹幹を見上げると、残枝の跡に動物の毛がついていて、
それが幹の上の方まで続く。おそらくクマが登った跡だろう。
クマが生息している生きた証拠を目の当たりにして、ちょっとひるむ![]()
。
さあ、ヘロン池が見えてきた。
池とティトン連峰の稜線と青空が、何と美しいことだろう
。
ホテイアオイが繁茂した池には、水鳥がいた。
たまに聞こえる鳴き声が、辺りの静けさを強調していた。
向こう岸にムースやシカが水飲みに来ていやしないか?
注意深く、目を凝らすが、ほかに動くものはない。
動物たちが行動するには、ちと暑すぎるか
。
トレイルはヘロン池に沿って続く。
しばらくすると、ジャンクションに。
さて、ここでしばし考える。
さらに南下するのはやめ、スワン湖の方に引き返そうかと家族に提案。
次女も疲れたからぼちぼち引き返したいと言う。
しかし、長女は目的のシカを見ていないので、まだ先まで行きたいと。
珍しく嫁も先まで行こうやと言う。
既にここまでやって来るモノ好きなパーティーは他におらず、自分たちだけ。
さらに先に行くことは、シカとの遭遇率とともにクマとの遭遇率も上がる。
この先の周回コースを回って、同じ場所まで戻ってくるとしても、
0.8+0.4+0.8+0.6mile=2.6mile=4.18kmもある。。。。
かなり不安で気乗りしなかったが、嫁の鶴の一声で進むことに。
しばらくは、深い針葉樹の森が続いた。
さきほどまでの森と違って、低木も多く、見通しが悪いところも出てきた。
そのような場所では、クマに自分たちの存在を早めに気づかせるために、
手をパンパンパンとたたきながら進む
。
途中、何度か草原に出る。
見通しがよいので安心だが、歩くには暑い
。
うーむ、なかなか動物には遭遇しない。
きっと動物たちにとって暑すぎるんだろう。
時間帯の問題だろうな。
朝早くか夕方を狙えばよかったか。
草原が終わり、また森の中。
見通しの悪いところでは手をパンパンを忘れない
。
と、リスを発見![]()
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トットットッと木に登ったと思ったら、
枝の付け根で休んでこっちを見てる。
何か抱えているゾ。
カサが開いていない新鮮な松ぼっくりだ!
しばらく皆で様子を観察。
すると、器用に松ぼっくりを両手で回しながら
カリカリカリっと食べ始めたではないか。
これまでリスが走っていくのを何度か見かけたことはあって、
既に珍しいものではなかったが、食事風景に遭遇したのは初めてだった。
めちゃくちゃ可愛かった![]()
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あっという間に食べ終わったと思ったら、残骸が降ってきた。
また枝から枝へトットットッ。
どこかに行ってしまった。
残骸を拾い上げてみる。
エビフライ![]()
松の実(種子)は人間の食べ物でもあるから、
きっと彼らにとってもご馳走なんだろう。
この2.6mileの周回コースは、ほとんどが針葉樹の森の中。
よって風景は単純で変化が少ない。
とくに、時計の文字盤でいう、2時から10時へといたる
最後の0.6mileは上り坂もあり、長く感じた。
何とか周回コースを歩き切り、
先に行くかどうか迷った地点まで戻ってきた。
この周回コースでは、他のパーティーとは一切出会わなかった。
だから、インド人風の4人組のパーティーが
その場で立ち止まっているのを見かけたときは、
嬉しくて、ちょい上から目線で、
「地図持ってるかい? 道わかるかい?」と話しかけてみた。
彼らは引き返していった。
自分たちがたどった周回コースの方に行かずに。
疲れた様子の自分たちを見てのことだろう。
さて、ここから先はスワン湖を右手に見ながら
湖の縁に沿って歩くコース。
湖面はヘロン池と同じく、ホテイアオイに覆われているので、
湖というよりは湿地のようにも見える。
水鳥は何度か観察できた。
連峰の方を振り返ると、
先程までと雲の形が変わっていた。
トレイルと湖面の高さはほぼ同じなので、
何度か水際まで行ってみる。
そおっとのぞいて見えたのは、
メダカの学校だった。
このあたりは、コルターベイからも近いので、
反対側から歩いてくる家族連れや老夫婦ともすれ違った。
一方、このあたりから、休憩の間隔も短くなる。
自分と次女が先頭集団、少し離れて長女、さらに離れて嫁、
と4人の位置関係もバラバラになっていく。
皆、かなりお疲れモード
。
かなり差が開いたので、まだ元気な次女と二人、
ジャンクションでしばらく待つ。
さあ、あとコルターベイまで0.4mile。
長女と嫁が見えてきたので、「Almost there!」と叫ぶ。
しかし、この先は、結構な登り坂が待っていた。
「何がAlmost thereじゃ![]()
!」
嫁から文句が出る。
でも、でも、最後の若い林の中を下る坂で、
下の方に車の行き来が見え始めたときは、本当にAlmost there!だった。
ようやく到着![]()
![]()
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14時前だった。
ショートカットしたにも関わらず、5時間くらいかかったか。
それにしても、このトレイル、終始砂地なので、靴は砂埃をかぶり結構汚れる。
長女の真っ白いスニーカーは、真っ茶色に変わっていた。
駐車場のアスファルトに脱いだ靴を叩きつけると、
何回やってもバフーッと砂埃が舞う。
結局、出会えた動物はリスと水鳥。
ミュールジカには出会えなかった。
それでも、湖や池から眺めたティトン連峰の景色は、
そのまま絵葉書にしたいほど美しく、
普通の観光客は決して味わうことはできない、自分たちだけのものとなった
。









